東薬ら,“その場”イムノアッセイ法を開発

東京薬科大学と東海光学は,市販の1cm角キュベットを試料セルとして利用するイムノアッセイ法を開発した(ニュースリリース)。

高度な医療を患者に提供するために,血液や尿などの生体試料に含まれるバイオマーカーの計測が重要となる。イムノアッセイ法は,バイオマーカーを計測するための代表的な分析手法であり,大型病院などで日常的に検査に利用されている。

一方で,中小規模の医療施設では,バイオマーカーの計測を外部施設に委託することも多く,検査結果を取得するために数日ほど要することもある。より迅速にバイオマーカーを計測して結果を取得するために、“その場”で計測できる高性能な小型分析装置を利用した,高感度なイムノアッセイ法の開発が望まれてきた。

研究グループは,ジャングルジム構造体とポータブル蛍光光度計FC-1 (東海光学製)を用いて,市販の1cm角キュベットを試料セルとして利用するイムノアッセイ法を開発した。これを用いて,血中の炎症マーカーとして知られるC反応性タンパク(CRP)をモデルとする実証実験を行なった。

まず,血清中のCRPをジャングルジム構造体に結合させる。そのジャングルジム構造体に酵素標識抗CRPを結合させた後,試料セル内の基質溶液に浸すと酵素反応が進行する。酵素反応で生じる物質の蛍光強度をポータブル蛍光光度計で測定することで,CRPが血清中に“どのくらいの量含まれているか”を明らかにできる。

この補法は,以下のような特長がある。
・小型(30mm×140mm×62mm)で軽量(600g),バッテリー駆動(単三乾電池2本)可能なポータブル蛍光光度計を使用。
・市販の1cm角のキュベットを試料セルとして使用。
・表面積の大きいジャングルジム構造体(表面積:1.1×103mm2)を抗体固定化媒体に利用することで,より多くのCRP分子を捕捉でき,検出感度が向上する。

開発したイムノアッセイ法は,熟練したスキルは不要で単純な操作で実施できるので,いつでもどこでもだれでも“その場”でバイオマーカーを計測できるという。例えば,居宅やクリニック,災害時の避難場所など,検査施設が充実していない場所での医療検査に大いに役立つとする。

研究グループは医療検査のみならず,河川や土壌中の環境汚染物質の測定や,食品中のアレルゲン物質の検出など,様々な用途に利用できる分析技術として発展が期待されるとしている。

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