近大,青酸化合物をレーザーで高感度に検出

近畿大学の研究グループは,毒物である青酸化合物を高感度で,迅速かつ簡便に検出できるレーザーを用いた分析装置を開発した(ニュースリリース)。

青酸化合物は,人体や環境に対して非常に有害な物質となる。例えば青酸カリは,殺人事件や自殺などで用いられる毒物であり,火災事故においても青酸ガスが発生して中毒の原因となることがある。

事件や事故の場合は,原因究明や捜査方針決定に関係するため,迅速に測定する必要がある。また,青酸化合物の毒性は急速に発現するため,救命医療の分野でも解毒剤投与や治療方針決定のために,速く正確な定量分析が求められる。

しかし,従来の検出方法では,高価で使用コストもかかる大型装置が必要であり,キットを用いた簡易的な検出方法も用いられてはいるものの,検出感度の面で課題があった。そこで研究グループは,高感度で迅速・簡便に青酸化合物を検出できる新たな分析装置を開発した。

研究グループはまず,青酸化合物とNDA-タウリン-ホウ酸混合溶液とが反応した蛍光物質について,蛍光分光光度計を用いて,詳細な定量性を明らかにした。次に,蛍光検出高速液体クロマトグラフィーを用いた蛍光物質の分析によって,生成物が単一でかつ定量性があり,繰り返し操作しても再現性が充分であることを明らかにし,分析法として信頼できることを証明した。

それを踏まえて試験紙を用いる分析法へと展開し,安価なマイコンボードの一種であるArduinoとレーザーを組み合わせて新たな測定装置を開発し,分析に適するように光の照射時間などを工夫した。

分析操作としては,マイクロチューブの蓋の内側にNDA-タウリン-ホウ酸混合溶液を浸透させた試験紙を貼り,マイクロチューブ内に青酸化合物を含む溶液と,アスコルビン酸を含む5%リン酸溶液を加え,ブロックヒータを使って中部の底を加温して10分間放置する。

生成した青酸ガスと試験紙を反応させ,それを装置に装着して蛍光強度を測定。さらに,試験紙の材質,サイズの最適化を行なった。また,同様の方法によって,血中の青酸化合物の定量性を明らかにし,実際の現場でも使えることを証明した。この装置を用いることで,青酸化合物の濃度を1~100μM以上の広範囲で検出することができるという。

今回開発した測定装置は,2万円以下と安価に製造できるうえ,手のひらサイズで携行も可能であり,研究グループは,事件・事故現場で青酸化合物を検出するために広く普及することが期待されるとしている。

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