リコーと宮崎県,インフラ点検の実証実験を開始

リコーは,宮崎県と協同で,人工的に作られた斜面であるのり面(道路土工構造物)の点検を,同社が開発した「のり面モニタリングシステム」で行なう大規模実証実験を2022年2月に開始することを発表した(ニュースリリース)。

社会インフラの老朽化や自然災害の頻発化,激甚化が進み,インフラの効率的な維持管理が大きな社会課題となっている。特に日本は国土全体の約7割を山地や丘陵が占めており,膨大な数ののり面が全国に広がっているため,その点検には多くの人手と手間がかかっている。

このシステムは,複数のラインセンサーカメラとLiDAR(3次元計測システム)を搭載しており,高さや幅が広いのり面でも一度に高画質な画像を撮影。LiDARで,画像と同時にのり面の3次元形状を記録することで,平面画像からだけではわからない断面の形状も記録が可能で,浮きやはらみ出し(表面が盛り上がってくること)など,のり面の崩壊につながる可能性のある予兆をつかむことができるとしている。

また,AIによって自動的に亀裂やはく離,ひび割れなどの変状を抽出することで,劣化状況の全体感をつかむことが可能。高画質で近景の出力をすることも可能で,細かな確認が必要な場所の様子も詳細に確認できる。さらに,撮影回数を重ねることで変状の経時変化を取得することもできるようになり,効果的な点検計画の立案にも貢献する。

宮崎県は,安心安全なまちづくりのために,すでに1000か所以上ののり面を人手で点検するなど,のり面の維持管理に関する先進自治体。今回の実証実験は,社会インフラ点検業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取り組みの一環として,宮崎県とリコージャパンが締結している包括連携協定に基づき実施する。

宮崎県が大量に保有する人手での点検結果とこのシステムで測定した結果を突合し,システムの精度の確認や効率化の度合い等の検証を一気に行なうことで,のり面点検業務のDXを推進する新技術の実用化を加速するとしている。

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