東京大学と日本電気(NEC)は,「Beyond 5G価値共創社会連携講座」を開設し,両者の知見を融合した技術開発および開発技術の社会実装,人材育成についての取り組みを開始した(ニュースリリース)。
超広帯域・低遅延通信,広大なカバレッジ。詳細な位置測位が同時に実現されるBeyond 5Gの導入が2030年ごろに見込まれている。
Beyond 5Gにより,空間・時間といった物理的制約から解放され,新たなコミュニケーション体験,および生活者の求める多様な価値観に沿う働き方や暮らしが実現する社会が到来すると考えられている。そこで,両者は「Beyond 5G価値共創社会連携講座」を開設し,Beyond5Gに係る技術の開発および開発技術の社会実装に取り組むと同時に,人材交流・産学教育などの新たな産学連携の実現に取り組む。
具体的には,Beyond 5Gの鍵となる高周波数帯の無線通信(ミリ波・サブテラヘルツ波等)を使いこなすことで利用者の体感品質(QoE:Quality of Experience)を最大化するネットワーク制御技術を確立し,その活用による新たな付加価値の共創を目指す。
設置期間は2021年12月~2024年11月の3年間。東京大学大教授の中尾彰宏氏が代表教員を務め,以下3点を目指した研究開発を行なう。
①「新たなサービス・行動変容」を創造する,リアルタイム・大容量通信システム
②「新たな通信の提供形態」を創造する,人やモノに紐付いた超高空間分解能の情報通信システム
③「情報通信産業の競争力」を創造する,新たな情報通信の迅速展開性を追求する技術
開発技術の実装評価の場として,東京大学のキャンパステストベッドに実験ネットワークを構築し,Beyond 5Gによる超高速通信の実証を行なう。例えば,ローカル5Gのように,一般事業者,自治体,大学,通信キャリアなどが様々な形で協力して通信サービスを提供することにより,サービス開発の民主化に取り組み,新たな通信の革新を推進する。
この社会連携講座を,キャンパステストベッドを活用した研究開発の第一の成功モデルケースとして協力者を呼び込み,多くのステークホルダーとのオープンな価値共創活動を目指すとしている。
なお,東京大学とNECは,共同で国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のBeyond 5G研究開発促進事業「Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤の研究開発」を受託しており,その成果もこの講座で活用していく予定だという。