島津製作所は,1月24日にマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析計「MALDI-8030」を国内外で発売することを発表した(ニュースリリース)。希望販売価格は2900万円(税別)
この製品は卓上型として世界最高級の分解能と感度を持つ「MALDI‐8020」(2017年10月発売)を負イオンにも対応させた装置で,英子会社のKratosが装置の開発・製造を手掛ける。
MALDI-TOFの質量分析計は,四重極型と比べて,広い測定範囲と高い分解能を両立している点が特長。核酸やたんぱく,高分子の測定に強みがあり,その需要は製薬や化学分野を中心に拡大しているという。
ただし,同社の上位機種「AXIMA Assuarance」は装置高が2m近いため,設置場所が限られていたとし,「MALDI-8020」は小型化を図るとともにメンテナンス性を向上させて点検回数を減らし,ランニングコストを低減。
この新製品もこうした特長を引き継ぎ,負イオンに対応(ネガティブモード測定)することで核酸医薬や陰イオン性高分子の測定も容易にしたとしている。
また,装置高が約1mというコンパクトさで,世界的に需要が伸びている卓上型であり「MALDI‐8020」と同様に,設置面積は従来比25%減,重量は同74%減に抑えられ,実験台にも載せられる。
さらに,従来機種の50Hzから200Hzへというレーザー高速化や排気システムの改良による真空待機の短時間化,さらには試料ステージの高速化によって測定時間を3分の1以下に短縮。
カートリッジ方式のイオン引出光学系や固体レーザーを新たに採用,真空システムのポンプ数削減などにより,ランニングコストを従来比30%以下に削減し,100ボルト電源が使用可能なため,電源追加の設備工事は不要だとしている。