キヤノンは,VR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システム「EOS VR SYSTEM」を新たに立ち上げ,専用のレンズ1機種とPCソフトウエア2本を2021年12月下旬に発売・公開することを発表した(ニュースリリース)。価格はオープン。
現在,VRはエンターテインメントや観光,教育など幅広い産業において活用が広がっている。このような背景のもと,同社は,レンズ交換式カメラ「EOSシリーズ」などで培ってきた光学技術を生かし,高画質な映像と効率的なワークフローを実現するVR映像撮影システムを立ち上げる。
このシステムは,ミラーレスカメラと専用のレンズ,PCソフトウエアで構成しており,カメラに新発売の専用レンズを装着することで,VR映像の撮影を実現。また,新公開のPCソフトウエアにて撮影映像のVR規格形式への変換から簡易的な編集までを行なうことができるという。
「RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE」は,2つの魚眼レンズを備え,左右の視差を利用した3Dの180度VR映像を撮影することができる専用のRFレンズ。ミラーレスカメラ「EOS R5」(2020年7月発売)に装着することで,8Kを生かした没入感のある高精細な映像を出力する。また,特殊コーティングの採用により,逆光時での撮影も行なうことができる。
このレンズは,2眼レンズそれぞれから入射する光を単一のCMOSセンサーを通じて記録することができるため,撮影前のカメラ位置の調整や同期設定,撮影後に映像を繋ぎ合わせる作業(スティッチ作業)が不要となり,映像制作ワークフローを効率化するという。
また,ユーザーの制作環境に合わせて,PCアプリ「EOS VR Utility」と「Adobe Premiere Pro」(別売)専用プラグイン「EOS VR Plugin for Adobe Premiere Pro」のいずれかのデータ変換ソフトウエアを選択することができ,映像制作をサポートするとしている。
同社は,このシステムの立ち上げにより,映像クリエイターや制作プロダクション,新たにVR映像撮影を始めたいと考えるユーザーまで幅広いニーズに応えていくとしている。