古河電気工業は,ライフサイエンス領域の安全・安心に貢献する新たな医療ソリューションとして,光(フォトニクス)の技術を用いて体外から埋め込み型医療機器の位置を容易に目視確認できる技術「Tellumino」(テルミノ)を開発した(ニュースリリース)。
近年,医療技術の高度化が進み,体内埋め込み型医療機器による低侵襲治療の普及が広く進んでいる。一方で,安全・安心でユニバーサルな医療サービスの提供において医療従事者の肉体的・精神的負担の軽減が喫緊の課題となっている。
薬剤注入の皮下埋め込み型ポート(CVポート)は,患者への負担および医療従事者側の労力を軽減する有効な埋め込み型医療機器として薬剤を用いる治療用途で広く使われている。
しかし,CVポートへ薬剤を注入するために専用の針を刺す行為(穿刺)は,触診による間接的なCVポートの埋め込み位置確認により行なうため,位置確認に施術者の相応の訓練と技量が必要で,穿刺時に医療従事者にストレスがかかるほか,患者の不安を増大する要因にもなっているという。
今回開発した技術は,既存のCVポートに複数のLED光源を内蔵する機構を採用し,体外からコイルを近づけることで皮膚を通して非接触でエネルギーを伝え,LED光源を点灯させることで,体外からCVポートの位置を容易に視認できるようにする医療向けソリューション技術。
X線や造影剤などの特殊な機器や薬剤を用いることなく体外からCVポートに穿刺する位置が肉眼で見えることで,医療従事者や在宅医療の患者等が短時間でより確実にCVポートへの穿刺を行なうことができ,機器や薬剤を用いることによる患者の精神的・肉体的負担の軽減に大きく貢献すると考えられるとする。
同社では開発に際して医師の指導のもと独自の動物実験を行ない,定量的な新技術の有効性の確認を行なっており,触診での穿刺位置の把握が難しい厚い皮膚下への埋め込み時にその効果が顕著であることを学会で発表するという。
今後は患者への負担をより軽減するようCVポートの設計を改良し,CVポートに代表される埋め込み型医療機器の発展に貢献するとしている。