ソニーは,単露光方式で従来比約8倍のダイナミックレンジを実現する,セキュリティカメラ向け1/1.2型4K解像度CMOSイメージセンサー「IMX585」を商品化する(ニュースリリース)。サンプル出荷は2021年7月,サンプル価格は4,400円。
セキュリティカメラは,夜間などの暗い場所でも高い認識精度が求められ,同社は,独自のセキュリティカメラ用途の裏面照射型画素技術“STARVIS”により,高感度撮影を実現したCMOSイメージセンサーを市場に投入してきた。
昨今では,セキュリティカメラの市場の拡大に伴い,高感度に加えHDRを実現する高い撮像性能を持ち,さまざまな環境下での撮影に応えるイメージセンサーが求められている。また,24時間撮影に対応するため,AIとの組み合わせによる画像認識のニーズも高まっている。
一般的にHDRを実現するためには,異なる露光時間で撮影した複数画像を重ね合わせる多重露光方式で撮影する必要があるため,特に動体撮影時にAIの誤認識の原因となるアーティファクトが発生するという課題がある。この製品は,新たに開発した,高感度に加えてHDRを実現する技術“STARVIS 2”を採用した。
アーティファクトを低減する単露光方式での撮影を可能にし,独自のプロセス技術により,画素サイズの制約がある中でも受光部の面積を広くすることで,広ダイナミックレンジを実現。画素サイズを大きくすることなく,単露光方式で従来比約8倍となる88dBのHDRを実現。多重露光方式においても106dBの広いダイナミックレンジを実現した。
加えて,受光部の光の入射面に凹凸を設けることで入射光を回折させて,非可視光である近赤外光の吸収率を高める独自のデバイス構造を採用。近赤外領域における感度を従来比約1.7倍に高めた。
これらにより,市街地など,対象物の動きが速く,昼夜を問わず認識が難しい条件下でも,AIと組み合わせることで高精度な画像認識が可能となるとする。
なお,“STARVIS 2”を採用し,単露光方式で88dBのダイナミックレンジを実現した1/3型2K解像度イメージセンサー「IMX662」についても,今年中にサンプル出荷を予定しているという。