金沢大ら,4K-3Dビデオ顕微鏡による手術を提唱

金沢大学,三鷹光器,パナソニック i-PRO センシングソリューションズは,「手術用の高精細(4K)3D ビデオ蛍光顕微鏡(HawkSight)」を開発し,この機器を使った新しい手術法の有用性をブタモデルで検証し提唱した(ニュースリリース)。

従来の外科手術は,細かいところは外科用ルーペを使って術野をのぞき込んで,またさらに細かい手術は顕微鏡を使って手術を行なっている。長時間のこれらの手術は,首や腕のしびれ,眼精疲労や肩こりなどの原因なっていた。また,助手が術者と同じ視野を共有できず,技術伝承に課題を残していた。

下記の手術操作を,現在の手術で使用している外科用ルーペと,新しい装置を用いて3Dモニターを見ながら頭を上げた状態で行う新しい手術方法(MMBS)を比較した。MMBSにおいては手術している部位を術者と助手が同一モニターを見ながら,頭を上げた状態で楽な姿勢で手術を行なえることや,レンズの倍率を速やかに調整することができ,弱拡大から強拡大の視野まで速やかに対応できることから,いままで外科用ルーペを用いて行なっていた手技は従来の方法と遜色なく行なうことができた。

また,ブタの体内の,今までは高拡大率のルーペや顕微鏡を用いて行なっていた胸部並びに腹部の細い血管(直径1.5mm)の吻合をMMBSにて行なった。ところ,すべての血管をMMBSにて吻合することができた。吻合後の血管内や組織の血流は,ICGとよばれる蛍光色素を用いてモニター上でオーバーレイすることにより確認した。

さらに,ブタを用いて,この装置を用い,体外で温かい血液を用いて移植直前まで灌流することにより移植肝の状態を改善させる新しい手術法を試したところ,血管内へカテーテルを入れたり,血管をつなぎ合わせたりする操作も含めて全てMMBSにて行なうことができた。灌流中における移植肝の組織血流もICGにより確認できた。

研究グループは,MMBSによる手術方法は手術時の外科医の身体的負担を軽減することができるほか,同一のモニターによって皆で手術操作を確認することができるため,外科技術の伝承・教育にも有用だとする。さらに,血流や腫瘍の正確な位置を確認しながら手術を行なうことができるため,外科手術自体の安全性の向上に貢献することが期待されるとしている。

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