阪大ら,ドローンと光通信技術で煙突内壁を透視

大阪大学,ドローン技術の車輪の再発見,JFE商事エレクトロニクスは共同で,超広帯域レーダーを搭載したドローンを飛行させ,煙突壁の保護のために表層部に施されているライニング材の肉厚の検査に成功した(ニュースリリース)。

ドローンに高精細カメラや赤外線カメラを搭載し,インフラ構造物の点検や診断を行なう例が増えている。可視光や赤外線(レーザーも含む)は,物体の表面を観察することには適しているが,物体の内部を調べるためには,物質に対する透過能力を有するマイクロ波,ミリ波といった電波を用いることが必要となる。

工場で使用されている煙突内壁には,耐酸や耐火のためのライニング材が使われている。これまで内壁を非接触で行なう検査では,目視やカメラによる表面観察に留まっており,ライニング材の厚みを非破壊で検査する技術が求められていた。

このシステムでは,まず光通信波長(1.55μm)帯において,2つの異なる波長の光信号を発生させる。これを光ファイバーで伝送し,フォトダイオードに与えると,2つの光信号の波長差に対応した周波数の電波を発生させることができる。光波長を精密にコントロールすることにより,およそ1GHzから1000GHzの範囲で任意の帯域の電波を作ることが可能だという。

この電波の周波数を変えながら対象物に照射し,そこから反射して戻ってきた電波と元の電波との振幅位相関係を計算することにより,反射点(物体の表面や裏面)の位置を知ることができる。

このシステムにおいてドローンに搭載する部分は,フォトダイオード(場合によっては増幅器で出力を増やす),検出器(例えばショットキーバリアダイオード)ならびに送受信アンテナのみで,ドローンのペイロード(搭載機器)を大幅に軽量化できる。光信号の発生や信号処理を行う大きなユニットは地上に置き,ドローンとは,軽量の光ファイバーと低周波信号ケーブルで繋ぐ。

煙突内壁の点検には,およそ50mm~150mmの厚さのライニング材を透過し,かつmmオーダーの分解能で厚みを計測することが必要。そこで実験により,4GHz~40GHzの帯域を使えば、ライニング材の厚みを測定することが可能であることを見出し,システムをチューニングした。煙突内壁の測定例では,ライニング材の表面からの反射点と裏面(金属側)からの反射点が観測され,両者の間隔がライニング材の厚みに対応した。

研究グループはこの技術により,点検作業の経済性,効率性,安全性が高められるだけでなく,肉眼では見えなかったリスクの可視化が可能になるとしている。

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