NIMSら,紫外線照射と化学処理で線幅0.6µmを印刷

物質・材料研究機構 (NIMS),C-INK,プリウェイズらは,サブミクロンスケールの任意の領域を選択的に極性化し,金属ナノ粒子の選択吸着により微細な電子配線を形成する印刷技術「2元表面アーキテクトニクス」を開発した(ニュースリリース)。

金属や半導体のインクを用いる印刷プロセスによって電子回路を形成する試みは、「プリンテッドエレクトロニクス」として広く開発されてきたが,インクジェットやスクリーン印刷といった既存の印刷技術では線幅が大きいという問題があった。

今回,研究グループは,表面の任意の微小領域を極性にすることで,選択的に金属ナノ粒子を吸着し,サブミクロン幅の印刷を可能とする「2元表面アーキテクトニクス」を開発した。

これは,表面を部分的に活性化する紫外光照射と,活性化された表面のみ極性にする化学処理という2重のプロセスを行なうことで,インクの吸着力と表面エネルギーが異なる領域を精密に作り分ける技術。表面への簡便な処理によって,線幅0.6µmの微細な印刷を実現した。

また,従来のプリンテッドエレクトロニクスによって金属配線を形成する場合,インクが乾燥する際に発生するコーヒーリング現象の抑制も大きな課題だった。コーヒーリング現象が発生するのは,印刷した金属インクの液滴が周縁部分で速く乾燥し,液滴内部から周縁部へ向かう流れが発生するため,結果として周縁部に多くの金属ナノ粒子が堆積するため。

「2元表面アーキテクトニクス」で作製した極性表面は,コーヒーリング現象の原因となる液滴内部の対流を抑制し,より平坦な印刷電極を実現した。

さらに,紫外線照射と化学処理の2つのプロセスともに大気下・短時間の簡便な処理であるため,フォトリソグラフィー等を用いる従来法と比較して,製造プロセスの大幅な短縮と低コスト化が見込める。また,金属ナノインクの微細な印刷が可能になったことで,次世代モバイルデバイスやウェアラブルデバイスといった,様々な応用展開に発展することが期待されるという。

プリウェイズとC-INKは,金属ナノインク向けの微細印刷装置「金属ナノ粒子配列システム」を開発し,各種基板に対して金属インクを良好に密着させる専用プライマーとともに販売を開始し,微細印刷技術の社会実装を目指すとしている。

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