OKIは,自動運転や動画配信,さらにはIoTセンサーを利用した通信サービスなどに合わせて通信リソースを最適化するネットワークスライシング技術(以下PONスライシング)を開発し,実証実験に成功した(ニュースリリース)。
PONは,家庭用ブロードバンド回線として最も普及している光アクセスネットワークで,多様なIoTサービスの提供が可能となる5G RANへの適用が期待されている。
一方で,5Gの機能を最大限に活用するためには,大容量,低遅延,多数接続かつ高信頼な通信サービスが要求されるが,これは大量の通信リソースを消費するだけでなく,多数のアンテナや基地局設備をつなぐ膨大かつ複雑な光回線の接続が必要となり,ネットワーク設備や運用コストの増大が課題となっている。
同社が開発したPONスライシングは,スライスごとに動的な帯域を割当てるDBA機能(マルチDBA)と,物理的なPONの装置から必要な資源を割り当てる資源制御機能の両方を搭載することで,通信サービスに合わせた柔軟かつダイナミックな通信リソースの管理・提供を可能にしたという。
実証実験では,テストベットとして構築したPONシステムから,同時に駆動する複数の論理ネットワーク(動画サービス用,低遅延サービス用)上で,実運用を想定した大容量の動画(道路模型で小型の車を走らせるなどの映像)の撮影・配信を行ない,映像が乱れることなく,安定した通信環境での動画配信サービス提供が可能であることを確認した。また,ネットワークスライシングなしでは動画配信に約3msの遅延が発生するのに対し,200µs以下の低遅延で通信できることも実証した。
同社はこの成果を,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託)」に適用するとともに,オープンなRAN環境における光配線の資源最適化技術実現に向け,光アクセスネットワークの仮想化技術の応用研究開発および商品化開発に活用していくとしている。