浜松ホトニクスは,マイクロフォーカスX線源(MFX)をはじめとする電子管製品の売り上げ拡大に対応するため,豊岡製作所に第11棟を建設すると発表した(ニュースリリース)。
同社は,医用や産業,分析,計測,学術などの幅広い分野に光電子増倍管やイメージ機器,光源などの電子管製品を販売している。
今後も各製品の売り上げが順調に増加すると見込んでいるが,イメージ機器においては,電気自動車向けバッテリーやデータサーバー向け電子基板の非破壊検査に用いられるMFXの需要が急拡大し,生産能力の増強が急務となっているという。
また,印刷,殺菌向け低エネルギー電子線照射源のEB-ENGINEや,X線画像を可視像に変換する医療向けシンチレータの売り上げ増加も見込まれるほか,空港での爆発物検査装置などに使われるマイクロチャンネルプレート(MCP)の市場投入を予定していることなどから,電子管事業全体の売り上げが今後5年間で約170億円増加すると見込んでいるという。
このため,新棟を建設し生産能力を増強することで売り上げ拡大に対応する。新棟では,EB-ENGINEやMCPに加え,各種光源の開発,製造機能を移転し,生産能力を高めるとともに,今後の需要増加に対応するためのスペースを確保する。また,移転により発生する既存棟の空きスペースを利用し,MFXの生産スペースを大きく拡張するほか,シンチレータの生産能力も増強する。
新棟は鉄骨造の地上4階建。建築面積は7,091m2,延床面積は23,880m2となる。総工費は約93億円。新棟建設の地鎮祭は5月19日に執り行なっており,2023年1月の竣工を予定している。