日大ら,量子ドットの熱による電流抑制を解明

日本大学と東北大学は,「2重量子ドットにおける熱支援パウリスピンブロッケード」を理論的に解明した(ニュースリリース)。

この「熱支援パウリスピンブロッケード」とは「量子ドット素子における熱エネルギーよる量子力学的な電流の抑制効果の増強」という新しい物理現象。

量子ドットは,量子力学的な効果を用いることにより,トランジスタの性能がさらに向上することが期待されている。しかし,この量子力学的な効果は熱エネルギーに弱いという特性を持っており,そのため通常は絶対零度(マイナス273度)近くの温度で測定され,温度が高く(熱エネルギーが大きくなる)と量子力学的な効果は弱くなっていくことが知られている。

今回,研究グループは,ある条件の下での量子力学的な効果が,温度が高くなることにより強められることを理論的に明らかにした。この効果はトランジスタの性能をさらに向上させ,より高性能なコンピュータを実現可能にすることができるという。

このような量子力学的な効果が温度の上昇によるネルエネルギーによって強められるという現象は通常は生じないため,これはトランジスタにおける重要な発見だという。

この効果はトランジスタの性能をさらに向上させ,より高性能なコンピュータの実現を可能にすることができる。研究グループは,この効果の実験的な検証を進めていくとしている。