ニコンは,チタン合金による金属造形が可能な光加工機「Lasermeister 102A」を発売する(ニュースリリース)。
「Lasermeister」シリーズは,同社独自の金属加工機で,造形・肉盛りといった金属3Dプリンターの要素から,マーキング,接合まで,レーザーによる様々な金属加工を高精度で容易に行なうことができる。
新製品は,これまで多くの要望があったというチタン合金による造形を可能とした。チタン合金は,鉄よりも軽く,ステンレスやアルミニウムよりも耐食性に優れ,高温でも強度を保つ。そのため,ジェットエンジン,タービンブレード,車両のマフラー,人工骨といった,様々な分野で活用されている。
新製品は,従来のSUS,ハイス鋼,Ni基合金に加え,チタン合金による造形・肉盛りも可能となったことで,様々な部品の成型から補修まで,幅広い用途に対応するとしている。
今回,金属の溶融状態を高速で観測,造形動作を制御する「メルトプールフィードバック機能」を新たに追加し,品質を向上させた。従来製品「Lasermeister 101A」と比較し,約2倍の造形速度を実現した。
さらに,寸法精度と表面粗さを向上させたほか,均一な凝固状態を保つことで造形時の欠陥が減ったとする。金属造形の品質が高まったことで,その後の工程の簡素化を図ることができるため,製造工程全体の生産性を大幅に向上させる。
造形品質を実質的に損なうことなく,再利用粉体の使用も可能となった。また,粉体供給時に,粉体を高速で観察して粉体供給動作を制御する「パウダーサプライフィードバック」機能を搭載し,造形品質を向上させた。これにより,生産コストの削減とともに,環境保全にも寄与する。
同社は2019年4月,コンパクトで多種多様な金属加工を実現する「Lasermeister 100A」を発売し,2020年5月には,上位機種の「Lasermeister 101A」を発売した。
新製品は,そのさらなる上位機種であり,「Lasermeister 101A」で採用した5軸制御機構を踏襲し,コンパクトな製品サイズを維持しながら機能を向上させたたとしている。