理研ら,低温下における量子もつれの新法則を発見

理化学研究所(理研),独マックス・プランク研究所,米カリフォルニア大学バークレー校は,量子力学に従う多粒子系(量子多体系)が有限温度下で示す「量子もつれ」に関する新たな法則を発見した(ニュースリリース)。

量子多体系が示す「量子熱平衡状態」のシミュレーションは,量子シミュレーションや量子機械学習の高速化において主要な役割を果たす。

「量子熱平衡状態」における量子もつれの性質は,「境界則」と呼ばれる普遍法則に従うことが知られている。これは,系を二つの領域に分割したとき,領域間の量子もつれの大きさが境界の大きさ(面積)に比例するという法則。

境界則は,室温下では普遍的に成り立つことが証明されている。一方,低温下では温度Tが絶対零度(0ケルビン)に近づくにつれて,温度の逆数(T-1)に比例して破れていくとこれまで考えられていた。

今回,研究グループは,境界則が従来の予想に反して温度Tの逆数の2/3乗(T-2/3)に比例して破れていくことを新たに示した。さらにこの性質をもとに,低温下での量子多体系の量子熱平衡状態をシミュレートする新手法を開発し,必要な計算時間を従来よりも大幅に短縮することに成功した。

研究グループはこの研究成果について,虚数の時間発展で生成される量子もつれに関する新たな知見を与えると同時に,量子シミュレーションや量子機械学習などの分野における効率的手法の開発にも貢献するとしている。

キーワード:

関連記事

  • 東大と電通大、量子もつれ光子を利用した時間分解分光法の提唱

    東京大学と電気通信大学は、既存の単一光子検出技術で実装可能な、量子もつれ光子対を用いた新しい時間分解量子分光法を提唱した(ニュースリリース)。 分光分野では、量子もつれ光子対を利用することで、ショット雑音以下での吸収分光…

    2026.04.28
  • 京大・竹内繁樹氏が文科大臣表彰を受賞、量子もつれ光による光量子センシングで評価

    文部科学省は2026年4月、「令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」の受賞者を発表した。このうち科学技術賞(研究部門)において、京都大学大学院工学研究科・教授の竹内繁樹氏が受賞した(ニュースリリース)。 同表彰は、科…

    2026.04.17
  • なぜ今「量子」なのか OPIE’26で新フェア、産学官が本格連携

    2026年4月22日から24日までパシフィコ横浜で開催されるアジア最大級の光技術展示会「OPIE’26」において、最大の注目は新たに新設される「量子イノベーションフェア」である。本フェアは、国内最大級の産学官…

    2026.04.15
  • 【主張】政策と技術を結ぶ日本の可能性

    世界最大の光学展示会 3月15日から米国ロサンゼルスでOFC(Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)が開幕する。通信バブル崩壊後、存在感を失っていた同…

    2026.03.25
  • オキサイド、量子コンピュータ向け紫外レーザー光源の販売を開始

    オキサイドは、量子コンピュータ向け紫外レーザー光源の販売を開始した(ニュースリリース)。新製品は波長302nmの紫外レーザ光源で、Yb原子を用いる中性原子型量子コンピュータにおいて、Rydberg状態の生成に用いられる中…

    2026.03.10

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア