シチズン電子は,3Dセンシング用の光源として幅広く使用されているVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)において,業界最小クラスのドライバ内蔵VCSELを開発し,レーザー市場に参入することを発表した(ニュースリリース)。2021年1月下旬からサンプル出荷を順次開始するとしている。
VCSELは3Dセンシング用の光源として,産業機械市場の物体計測や障害物検知,スマートフォンの顔認証やカメラの測距,車載市場の車室内監視など幅広く使用され,急激な市場拡大が予想されている。これらのアプリケーションでは,より高精度,長距離のセンシングを実現するためにVCSEL光源の高速応答や高出力化が求められているという。
今回同社が発表したのは「2in1/3in1VCSELパッケージ」(4.5×4.5×1.8mm),「VCSELモジュール」(31×13×2mm),「スタック構造VCSELパッケージ」(5.0×5.0×1.5mm)の3タイプ。
「2in1/3in1VCSELパッケージ」のうち,「2in1」は,スイッチングFETとVCSELを小型ワンパッケージに集積し,高速応答を実現。高速応答と線形性が要求される位相差方式TOFに適している。「3in1」は,「2in1」にさらにコンデンサを内蔵し従来比1.6倍の高出力化を実現し,短パルスでの高出力が要求されるダイレクトTOFなどに適しているという。
「VCSELモジュール」は,VCSELを4灯搭載し業界トップクラスの20W出力と高速応答を実現。広い検出範囲で長距離の測定を必要とする産業機器用途向けだとしている。
「スタック構造VCSELパッケージ」は新開発ドライバとVCSELをスタック構造により小型化し,さらなる高速応答と高出力化を実現。保護回路(電流,電圧,温度)内蔵ですべてのTOF方式に適しているという。
これらの製品は同社が培ってきた基板設計技術を応用し,ドライバやVCSELなど各素子間の配線のインピーダンスを極小化し高速応答,高出力化を実現した。さらに同社のパッケージ技術により高放熱を維持しながら小型化にも成功し,幅広い需要への対応が可能になったとしている。