東急建設と東京都市大学は,山岳トンネル工事における掘削の最先端(切羽)で発生する岩片の落下(肌落ち)を,画像処理技術によりリアルタイムで検知する技術を開発した(ニューリリース)。
山岳トンネル工事において,切羽面からの肌落ちは死傷災害の主な原因の一つ。安全性向上のためには切羽を常時監視することが不可欠だが,従来の目視による監視は主観的な評価になりやすいという問題があった。
東急建設ではこれまで,カメラ画像を用いた肌落ち検知方法を検討してきた。しかし,通常のカラー画像(RGB画像)では,移動物体が検出できるフレーム間差分法を用いて肌落ちが検出されるが,このままでは重機等の支障物が画像に入り込み肌落ちを誤認識する場合があることが課題だった。
そのため,新たに開発した技術では,カラー画像と距離画像(Depth画像)を同時取得するRGBDカメラの活用により,肌落ちとそれ以外の支障物を判別したマスク画像を抽出し,高精度な検知が可能となった。また,肌落ち箇所と回数を時系列に蓄積したデータを応用することで,危険度を定量的に判定することもできるようになったという。
この技術の有効性については,東急建設で施工中のトンネル工事で実証実験を行ない,トンネル掘削時に撮影した動画からリアルタイムで肌落ちが検知されることを確認した。
研究グループは,引き続き実証実験を重ねるとともに,東急建設で既に開発済みの「切羽監視責任者支援システム」と併用することで施工データの一元化を図り,山岳トンネル工事の安全性向上および業務効率化を推進していくとしている。