古河電工ら,海底向け4コアファイバで12000km伝送

古河電気工業とKDDI総合研究所は,世界最小級に伝送損失を低減した低クロストークマルチコアファイバの開発に成功し(古河電工),独立した4つの各コアを用いて,太平洋横断を上回る距離で,超高速な光信号の光ファイバ伝送に成功した(KDDI総合研究所)(ニュースリリース)。

5GやIoTなどによる新規アプリケーションに加えCOVID-19によるテレワーク需要の増大により,世界中のデータトラフィックは増大の一途をたどっている。これに加えてデータセンタ間の通信需要の増大により,国際通信を担う光海底通信の容量は増大を続けている。

この需要に対応するために,ケーブル内のファイバ心数を増大させる空間多重システムの採用が進んでおり,ケーブルの外径サイズは,敷設工事の困難さや,コスト上昇の観点から現状以上に拡大することは現実的でなく,ケーブルの外径サイズをそのままにケーブル内の心数を増やすことは必要不可欠となってきている。

マルチコアファイバ(MCF)は通常光ファイバと同一の形状にて光が伝搬するコアの数を複数実装したファイバ。今回開発したMCFは4つのコアを搭載しており,通常の光ファイバよりも4倍の容量を伝送可能とする。

MCFではファイバ内のコア間の信号干渉であるクロストークが課題であり,低損失かつ低クロストークなMCFの実現は困難だったが,古河電工はファイバ構造と製法の最適化により,通常の海底伝送用光ファイバと同等でかつ低クロストークなMCFの中では世界最小級損失の0.155dB/kmを実現しつつ,-60dB/100km以下の低クロストーク性も確保したMCF開発に成功した。

このファイバの適用先としては長距離海底光ケーブルが想定され,その最大距離は太平洋横断級の9,000kmがその指標として挙げられている。今回開発した光ファイバを適用することにより,超高速な光信号を12,000km以上の伝送が可能なことを実証した。

光海底システムの要素としては増幅器の省電力化も大きな課題であり,省電力光増幅器としてマルチコア増幅器の開発も進めているという。両社では今回開発した低損失マルチコアファイバとマルチコア光増幅器の技術を活用した空間多重光海底システムを推進していくとしている。

なお,この開発は総務省委託研究 研究開発課題「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」,技術課題Ⅱ「マルチコア大容量光伝送システム技術」の取り組みの一部として行なわれた。

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