パナソニックは,映像の視認性に優れた55V型の透明有機ELディスプレーモジュール2機種「TP-55ZT100/TP-55ZT110」を商品化し,2020年12月上旬から順次グローバルに発売を開始する(ニュースリリース)。
透明ディスプレーは背景が透けて見えることで,空間を遮断せずに周囲の環境に溶け込み,実物に重ねて映像を表示するなど多様な表現が可能なため,空間価値を高める次世代の映像表示デバイスとして関心が高まっているという。
この製品は,バックライトを必要としない自発光型の透明有機ELパネルを採用。画素の一部分に開口部を設け,パネル背後からの光を通すことで透明化を実現している。透明ディスプレーは映像の黒の部分を透明として表現するが,「TP-55ZT110」は,独自開発の調光ユニットにより黒の部分の光の透過率をコントロールし,明るい環境下でも,コントラストを維持しながら通常のディスプレーのように鮮明に映像を表示する。
解像度Full HD(1920×1080)の有機ELパネルは外部調達品だが,調光ユニットおよびフィルムの高度な真空貼り合わせ技術により,ディスプレー部の厚さは1cm未満(「55ZT100」は3.8mm,「55ZT110」は7.6mm)を実現するとともに,高い透明性と色鮮やかな高画質映像,広視野角を実現したという。
なお,調光ユニットは液晶ではなく,電気的に光の透過率を制御するものだという。透過率は「ZT100」が43%,調光ユニットを搭載する「ZT110」は28%(遮光モード時はほぼ0%)となっている。
今回,汎用性の高いモジュール仕様で提供することで,住宅のみならず,商業,交通,公共施設含め,さまざまな場所に柔軟に設置することができ,複数枚接合による大画面表示も可能だとしている。