化学メーカーの日本曹達とKyuluxは,次世代有機EL発光材料であるTADF向け新規化合物の共同開発契約を締結した(ニュースリリース)。
Kyuluxは,有機ELディスプレーなどに用いる次世代材料の開発を行う九州大学発のファブレスベンチャー企業。有機ELディスプレーは液晶に代わるディスプレーとして急成長が続く市場であり,5G通信技術の導入に伴い,今後はより一層の高性能化・低消費電力化が求められる。
同社の開発するTADF(熱活性化遅延蛍光)は,レアメタルを一切使用しない環境負荷低減型の新規材料であり,このTADFを活用した「Hyperfluorescence」は高発色・高解像度・低消費電力および低コストを同時に実現する発光技術として,今後さらなる事業拡大が期待されるとする。
契約締結により日本曹達は,Kyuluxが開発したTADFの高性能化・高品質化と,新規化合物の飛躍的な生産効率向上を目指して共同開発に取り組む。具体的には,は長年培った高度な有機材料開発力と合成ノウハウを活用して,開発された新規化合物の合成を行なう。
Kyuluxは,製品化を前にして高品質かつ低コストのTADFの生産が重要な課題だった。一方,日本曹達は,この共同開発が新規事業分野である有機ELディスプレー事業への参入の足掛かりになるものだとしている。