NEDOら,光で全ボードを直結したサーバーを完成

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)と共同で,サーバーボードにデータ転送先を切り替えるスイッチング機能を実装し,全サーバーボード間を光配線で直結したラック型サーバーシステムを世界で初めて完成した(ニュースリリース)。

光配線はデータセンターなどにおけるサーバーシステムや光通信システム向けIT機器の大幅な小型化・高速化・省電力化を可能にすることから,世界各国で開発が加速している。

こうした中,NEDOとPETRは,2012年度から10年間の「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」として光配線技術や光トランシーバー技術の開発を進めている。両者は今回,サーバーボードに搭載したアクセラレータボードのFPGAにスイッチング機能(分散スイッチ)を実装し,全サーバーボード間を光配線で直結したラック型サーバーシステムを世界で初めて開発した。

ビッグデータを高速処理するためには,データ処理を多数のサーバーに分散し並列して計算する手法が有効となる。ただ,計算結果をサーバー間で相互にやり取りする通信時間はデータ処理時間に大きく影響するため,従来のサーバーシステムでは遅延が発生する。また,従来の電気配線のケーブルはサイズが大きく設置できる数に限界があるため,すべてのサーバーボード間を接続できない課題もあった。

これに対し,両者は8台のサーバーボードの全ノード(FPGAを搭載したアクセラレータボードを実装したサーバーボード)間を光配線で直結したフルメッシュ接続とFPGA内に構成したスイッチング機能を組み合わせたラック型サーバーシステムを開発し,電気スイッチによる処理時間の遅延を解消することに成功した。これにより,膨大な量の情報を電気配線より一桁高速で処理する仕組みを実現した。

電気スイッチで中継することなくサーバーボード間のデータを通信できることから,電気スイッチを介してデータ伝送を行う従来システムと比べ,計算速度を一桁高速にすることに成功。例えば心臓や肺の診断などに用いられる3次元CTの画像処理では,電気スイッチを介した電気接続によるコンピューターシステムで5分を要していた処理時間を30秒に短縮できたという。

さらに両者はこのプロジェクトで開発中の光電子集積インターポーザー技術の成果を,今回開発したラック型サーバーシステムにも適用し,並列度を上げるとともに,さらなる省電力化を可能にする技術開発を進めていくとしている。

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