リコーは,一般車両搭載型トンネル点検システムを用いた社会インフラ向け点検サービス「リコー トンネルモニタリングサービス」の提供を9月1日から開始した(ニュースリリース)。
日本国内には約1万本のトンネルがあり,老朽化に伴う安全管理が社会課題になっている。2014年には国土交通省から「道路トンネル定期点検要領」が出され,社会インフラであるトンネルの維持管理のために全国で定期点検が行なわれるようになっている。
トンネルの点検を行なう場合,従来の点検方法では,交通規制をしたうえで,特殊な高所作業車を利用し,近接目視での確認を行なうため,作業が危険な上,多くの人員や時間を要していた。
このシステムは,複数の被写界深度拡大カメラとライン照明で構成されており,40km/h程度でのトンネル壁面の走行撮影を可能にし,また作成された展開画像から最小幅0.3mmのひび割れや漏水・チョーキングなどの変状やねじのゆるみ(合いマーク)を判別することが可能。
従来からの人手による作業では,現場で手書きした野帳からの変状図・調書作成が必要だが,このサービスでは撮影結果から作成した高精度な展開画像を提供することで,変状図や調書の作成に活用することができるため,工数とともに誤記や漏れなどの作成ミスも削減でき,トンネル維持管理の効率化につながるという。
このシステムは,2019年度に,国土交通省の公共工事等における新技術情報提供システム(NETIS:New Technology Information System)に登録された。先だって2018年11月に実施された国交省による実証実験では,交通規制を行なわずに40km/h程度で走行しながらトンネルの計測(撮影)を行ない,ひび割れ・うき・はく離,鋼材腐食,漏水など対象となる評価項目を100%判読できる精度評価を得た。
同社は,2019年8月から路面性状の点検を大幅に効率化する「リコー 路面モニタリングサービス」を提供しており,このサービスは社会インフラを対象とした点検サービスとして2例目の事業化となるもの。