東北大,連続的に構造の異なる金属ガラスを作製

東北大学は,金属ガラスの緩和状態(構造の乱雑性)を制御する技術として,2次元傾斜急冷技術を開発し,連続的に構造の異なるガラスを作製できることに成功した(ニュースリリース)。

金属ガラスはランダム構造を有する材料で,優れた機械的,磁気的特性や加工成型性をもつ一方,その変形機構に起因する室温での脆性が問題となっていた。

特に実用上,一定形状の材料が必要なことから,低冷却速度での製造や種々の加工が必須で,それによって容易に緩和した状態に遷移し,急激に脆化が進行するという欠点があった。これまで一旦緩和した金属ガラスはエネルギー的に安定なため,再度溶解して作り直さなければ未緩和状態に戻らないとされていた。

研究グループでは,緩和状態をもとに戻せる加熱温度とその後の冷却処理について詳細な検討を行ない,一旦緩和した金属ガラスであっても,適正な条件下で未緩和状態に戻せる(構造若返り)ことを見いだしていた。この構造若返りによる緩和状態制御によって,失われていた塑性変形性(靱性)が復活することも見いだした。

今回,研究グループは上記の手法をさらに進化させ,真空雰囲気下で2次元傾斜冷却を可能にする装置を開発することで,これまでにない新たな構造制御法を提案でき,さらに新規の特性が発現できるのではないかと考えた。

そこでZr60Cu30Al10金属ガラスに2次元傾斜急冷熱処理を行なうことで,試料中の緩和状態が連続的に変化するガラス構造を作製することに成功した。また,そのような緩和状態の連続的遷移に対応して,硬度も連続的に変化する等,特異な状態が得られていることが分かった。

圧縮機械試験を行なったところ,これまでの均一な緩和状態をもった金属ガラスに比べて,塑性変形性(靱性)が著しく向上していることがわかり,さらに通常の金属ガラスでは起こらないとされる加工硬化(加工によって強度が上昇する状態)のような現象も観察された。

このような特異な変形機構は,緩和状態の変化にともなって,変形帯の発生と進行が塑性変形とともに変化させられ,それらが相互作用してしまうという,通常は起こりえない現象が起きたためと考えられているという。

研究グループは,今回の一連の成果は金属ガラスの基礎・応用研究の両側面に新しい,そして重要な知見を与えるものだとしている。

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