ソニーグループのSMNの子会社ゼータ・ブリッジは,提供する自動解析ソフトウェア「フォトナビ・目視レス」において,「小型魚類モデル生物」(ゼブラフィッシュ,メダカなど)の動線解析,寸法計測を可能とした動き回る物体の追従,計測の自動化の開発を実現した(ニュースリリース)。
このソフトウェアは,人が目視し,脳で判断する感覚と同じように,画像の中から特定の条件に当てはまる領域や,類似する色,形,模様などを瞬時に自動検出する独自開発の画像認識技術を搭載する。今回,「小型魚類モデル生物」の動線解析,寸法計測を,独自アルゴリズム「ABHB」(Algorithm Based on Human Brain)を使用して開発,プログラム化して搭載した。
小型魚類モデル生物の解析はこれまで,研究者が目視で魚の状態を確認したり,実際に魚のサイズを計測したりすることが主流だった。一方,見る人によるバラつきや,定量的な判断ができないという問題もあった。さらに,近年,研究分野の多様化により,モデル生物の「動線解析」や,「寸法計測」の用途が拡がり,研究効率の向上を目的とした,自動化や定量化のニーズが高まっている。
人の目と脳は,自然に水槽とその中の動いている物を認知する。そして,その物の形が魚であることを認識する。魚が動くことで,水槽の底面に魚が反射したり,水槽に魚の影ができたりするが,人はこれを魚本体と無意識に区別する。こうして人は魚の⾃由な動きを追うことができる。
「ABHB」は,人の目と脳の無意識を意識化し,その判断プロセスをプログラミング,アルゴリズム化したもの。これを搭載した「フォトナビ・目視レス」は,人の目や脳と同じように「水槽の底面の反射」,「影」,「魚」を正しく区別し,魚の画像だけを抽出する。これにより,純粋な魚の動きのみを追って,より正しく動線解析を行なうことができるという。
また,魚は様々な方向に動くため,カメラに映る魚のサイズも一定ではないが,動画をフレームごとに解析し,魚が真横を向いた瞬間のフレームを算出することで,精度の高い寸法計測が可能となった。なお,この製品は,小型魚類モデル生物の飼育装置を開発・販売するイワキとの共同開発によるもの。
同社は今後,「ABHB」を活用した画像認識の応用利用分野と事例を増やし,「フォトナビ・目視レス」の拡充を図るとともに,「ABHB」を利用したツールを開発し,「ABHB」の普及を目指すとしている。