東北大,スピンを用いたメモリチップを試作

東北大学の研究グループは,スピン軌道トルク型磁気トンネル接合(SOT-MTJ)素子とSi-CMOS技術を組み合わせた集積回路技術を用いて,高速なデータの読み書きを可能とするデュアルポート型SOT-MRAMチップを試作し,その動作実証に初めて成功した(ニュースリリース)。

半導体メモリでは,トランジスタの微細化に伴い,待機電力の増大が課題になっており,この問題を解決するために,スピントロニクス技術を使った不揮発性メモリに注目が集まっている。

今回,研究グループは,スピントロニクス技術とCMOS技術の融合により,スピン軌道トルク型磁気トンネル接合(SOT-MTJ)素子を用いた不揮発メモリ(SOT-MRAM)チップの試作・実証に初めて成功した。

また,スピントロニクス技術を用いた不揮発メモリチップとしては初となるデュアルポート動作(読み書き同時処理)の実装に成功し,無磁場環境下における高速動作(60MHz書込み,90MHz読出し)を達成した。

この成果は,研究グループが研究開発したSOT-MRAMセルアレイの高速動作を実現する回路技術と,SOT-MRAMにかかる材料・セル技術とその300mmプロセス集積化・製造技術を融合させるたことで達成されたもの。

この不揮発性メモリ技術は,ICT社会基盤のパラダイムシフトをもたらし,Society5.0を実現するための基盤技術として期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 東北大ら,半導体内の電子スピン波をSLMで制御 2025年04月11日
  • 東北大ら,波と光が強結合した状態を室温で実現 2025年02月04日
  • 東大ら,光捕集能で電子スピンを効果的に超偏極 2025年01月29日
  • 東北大ら,VCSELのスピン制御で偏光スイッチ実現 2025年01月20日
  • 東大,円偏光照射で合金膜のスピン偏極電流を反転 2025年01月15日
  • 東北大ら,従来比約5倍増強の光磁気トルクを観測 2025年01月15日
  • 名大ら,テラヘルツ波⇒スピン流への変換機構を実証 2024年12月19日
  • 筑波大ら,マルチフェロイック物質を100fs光制御
    筑波大ら,マルチフェロイック物質を100fs光制御 2024年12月09日