理科大ら,プラズマ照射で光触媒の性能を向上

東京理科大学,中国 東北師範大学の研究グループは,水溶液中でプラズマを十面体のBiVO4に照射するというシンプルな方法で,光触媒としての能力が向上することを発見した(ニュースリリース)。

光触媒の効率は,酸化・還元サイトにおける電荷分離によって左右される。これまでに,BiVO4やTiO2(二酸化チタン),Cu2O(亜酸化銅)といった多面体構造を持つ光触媒では,特定のファセット(結晶の平坦面)が酸化サイトもしくは還元サイトとしてそれぞれ機能し,効果的な触媒反応が起こることがわかっている。

しかし,この結晶におけるファセット間での電極分離は,酸化サイトもしくは還元サイトのエネルギー差が小さいため,電荷分離を促す駆動力はこの酸化還元反応は従来のヘテロ接合型光触媒よりも低いという課題がある。また,電荷分離はファセットの状態に影響されるので,ファセットが汚れていると,結晶が光触媒として効果的に作用しない。

十面体のBiVO4は,酸化サイトのファセットが8面,還元サイトのファセットが2面と,酸化サイトが支配的であるため高い光酸化能を持ち,光触媒として有望な材料となる。

また,これまでの研究から空孔を有するバナジウムで電荷分離が効率的に進むと示唆されていることから,さまざまな方法でBiVO4に空孔を導入し,触媒効果の向上する試みが行なわれてきたが,十面体という構造に起因する電荷分離と,空孔による電荷分離は異なるメカニズムで生じる現象であるため,これをうまく調和させることは容易ではなかった。

今回研究グループは,あらかじめ合成しておいた十面体のBiVO4に,水溶液中でプラズマを照射し,プラズマの紫外線,高エネルギー電子,高速衝撃波により,ファセット表面の改質を行なった。次に,プラズマ処理を行なったBiVO4の十面体について,ラマン分光法,X線光電子分光法,蛍光X線分析法などで分析した。また,最適なプラズマ照射時間の検討も行なった。

その結果,プラズマを8時間照射した十面体のBiVO4では,プラズマを照射していない十面体のBiVO4の約1.5倍という高い酸素発生速度を達成した。

この研究では,BiVO4の光触媒としての性能が,プラズマ照射というシンプルな方法で向上することを示した。多面体を持つほかの光触媒についても,同様にプラズマ処理を行なうことで,触媒効果が向上する可能性があるという。

光触媒の性能が向上すれば,水素の生成だけでなく,酸化還元反応によって有機物や細菌を分解することもできるため,土壌や水の浄化,空気の清浄化などへの分野へも応用が可能だとしている。

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