NTTデータと,同社のインドにおけるパートナー会社であるDeepTekは,インドの病院Ruby Hall Clinicで,AIを搭載した画像診断支援ソリューションをCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)診断の支援に活用する活動を開始した(ニュースリリース)。
このソリューションは,患者の医療画像をAI技術で解析し医師の診断を支援するとともに,優先順位決めなどの管理業務を効率化する。今回,既存技術を拡張し,同様の診断プロセスでCOVID-19の診断支援を可能とした。
X線やCT画像などの医療画像を用いた診断は,それを行なう放射線科医が世界的に不足していることを背景にAIによる診断支援の研究開発や実証実験などの取り組みが進んでおり,NTTデータは,これまでに世界各地の病院で実証実験を行なってきた。
一方,世界的にCOVID-19が問題化する中で,検査の補助的な手段としてX線やCT画像による肺炎の診断が利用されている。今回,インドの病院で開始したPoC(Proof of Concept;概念実証)では,同社の技術をベースに,この画像診断の支援における有用性を検証した。
既存の画像診断技術で使用している肺のさまざまな疾患を検知するアルゴリズムをベースに,実際のCOVID-19患者の医療画像を用いて,AI画像診断アルゴリズムを開発した。
これにより診断対象の医療画像において,健康な状態と比較した際に異常の可能性がある箇所を画像上とテキストで示すことで,放射線科医が行なうX線やCT画像を用いた診断業務を効率化し,医師の診断を支援する。具体的には,X線やCT画像上にAIが識別した箇所を黄色や白で強調表示し,識別した内容を解説したテキストを別途出力する。
これに加えて,患者リストにおけるアラートなど医師の診断業務にまつわるワークフロー全体をサポートすることで,COVID-19罹患状況に関する医師の判断への統合的な支援が見込まれるとする。
今後同社とDeepTekは,このサービスをインド,およびAPAC各国で提供開始し,日本への展開も検討している。このサービスを通じて,各国の医療機関における医療体制の強化,医師の負担軽減,病院の診断プロセス改善を提案していくという。
また,学習用データ(医療画像)を増強しAIの判断精度を高めるにあたり,より多くの医療機関と協力体制を構築できるよう,コンソーシアムや共用プラットフォームなど大規模活用を想定したインフラ化の検討を行なうとしている。
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