市大ら,レーザーで酸化鉄ナノ粒子を合成

大阪市立大学,東北大学の研究グループは,添加剤や後処理が不要で,原料濃度や反応時間によらず大きさが一定の酸化鉄ナノ粒子の簡便な合成法の開発に成功した(ニュースリリース)。

温熱療法に用いる磁性材料として酸化鉄ナノ粒子が注目されているが,機能を発揮するには粒子の組成,大きさ,そして表面の状態などが重要になる。通常の化学的手法による合成法では,粒子径や分散性を制御するために界面活性剤などを添加する。しかし,これらの添加剤はナノ粒子内部や表面に不純物として残留する可能性がある。

一方,添加剤を必要としない,レーザーを用いる合成法が近年注目されている。たとえば,有機溶媒中に浸漬した鉄の小片にパルスレーザーを照射する,液中レーザーアブレーションと呼ばれる方法で磁性ナノ粒子が生成できる。しかし,粒径が比較的大きいこと,粒子が炭素を含むこと,そして有機溶媒に由来する炭素凝集体が多く生成することが課題として挙げられる。

これに対し研究グループは固体ではなく有機金属錯体溶液を原料とするナノ粒子生成を試みてきた。フェロセン(Fe(C5H52)のへキサン溶液への紫外ナノ秒あるいは近赤外フェムト秒レーザーの集光照射によって炭素を含まない酸化鉄ナノ粒子の作製をすでに報告している。

特に,フェムト秒レーザーを用いると,長時間の反応でも一定の大きさの粒子を作製できることが分かった。ただし,平均粒子径は10nm以上であり,原料濃度を高くすると粒径が増大すること,そして炭素凝集体が生成するという問題点があった。粒子の生成量を増やすためには原料濃度を高くすることと,反応時間を長くすることは不可欠。しかし,いずれも粒子の融合を促すために粒径が大きくなる傾向がある。

そこで研究グループは,有機金属錯体であるフェロセンを溶解した有機溶媒(ノルマルヘキサン)と水の混合溶液にフェムト秒レーザーを照射するだけで,直径10nm未満かつ粒径の揃った酸化鉄粒子を簡便に合成することに成功した。

化学的手法とは異なり,この方法では添加剤の必要がなく,さらに室温・空気下で実施可能となる。また,生成する酸化鉄ナノ粒子の平均粒子径は原料濃度やレーザーの照射時間に依存せず一定だった。大きな粒子も生成しないことから,粒径を揃えるための遠心分離操作などの後処置も不要となる。

今回の成果は,今後のさまざまなナノ粒子生成法の開発,特に添加剤を用いることのないナノ粒子の粒径制御の実現のための設計・開発に大きく寄与するとしている。

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