日本放送協会(NHK)は,被写体からの光線を再現する「アクティナビジョン」(Aktina Vision:“Aktina”はギリシャ語で光線の意味)と呼ぶ独自の3次元映像表示方式で,“ハイビジョン解像度相当(約200万画素)の高精細な3次元映像”を表示するシステムを開発した(ニュースリリース)。
この方式では,被写体からの光線を,水平・垂直に異なる位置(視点) から撮影した多視点映像で再現する。この多視点映像の視点数と解像度を高めることで,見ている人が水平・垂直方向に動いた場合も, 高精細で自然な3次元映像を表示することができる。
今回開発したシステムでは,72視点分の多視点映像を用いる。さらに,画素ずらし機能(画素を斜め方向に半画素ずらした映像を時分割に投影することで解像度特性を向上させる機能)を持つ8Kプロジェクターで,この多視点映像を高解像度化する。
そして,特殊な光学系を用いて,高解像度化された72視点分の多視点映像の光線の方向をずらして多重表示することで,これまでNHKが開発してきた約30万画素の3次元映像表示システムから,ハイビジョン解像度相当へと,大幅な高精細化を実現した。
今後も,3次元映像の撮像や表示,圧縮符号化技術などの研究を進め,これまでにないリアルな視聴体験ができる3次元テレビの実現を目指すとしている。
表示装置と3次元映像の仕様は以下の通り。
・プロジェクター
画素数/7680(H)×4320(V)
フレーム周波数/120Hz
台数/1
・3次元映像
画素数/1920(H)×1080(V)相当 (960(H)×540(V)画像を時分割で斜め半画素ずらし表示)
画面サイズ/15.4インチ
フレーム周波数/30Hz