古河電気工業は,超高速光ファイバ通信において,従来方式よりも伝送距離を伸ばす前方励起ラマン増幅器用の励起光源「FRSi4XXシリーズ」を開発した(ニュースリリース)。
今後,本格的に導入が進む毎秒400Gb/s等の超高速光ファイバ通信では,受信光信号対雑音比(OSNR)改善が重要となるが,既存の光増幅器(EDFA)では必要なOSNRが確保できず,雑音特性に優れるラマン増幅器の需要拡大が見込まれている。中でも,ラマン増幅の優位性を最大限に生かすことができる前方励起ラマン増幅器に対しては,伝送距離拡大技術として期待が高まっている。
従来は,前方励起ラマン増幅器用の励起光源の出力・雑音特性に限界があったため,ラマン増幅器としては後方励起方式のみが実用化されていたが,同社は高出力で低雑音特性に優れたこの製品を開発した。
この製品は,同社が25年以上培ってきたInP(Indium Phosphide)の光半導体チップの設計・製造技術および高精度パッケージング技術を活用し,独自の高出力チップ構造と光ファイバとの高効率結合技術開発を進めるとともに,新チップに最適な放熱設計も行なうことで,光出力100mW以上を実現。また,従来ラマン増幅器用光源に比べ,約20dB/Hz低減している。製品の出荷開始は2020年度下期の予定。