パナソニックは,近方から遠方250m先にある物体位置に合わせた高精度な三次元情報を取得する,アバランシェフォトダイオード(APD)画素を用いたTime-of-Flight(TOF)方式距離画像センサーを開発した(ニュースリリース)。
今回開発した新TOF方式距離画像センサーは,2018年6月に同社が発表したAPD画素を用いたTOF方式距離画像センサーの技術をもとに,電子増倍部と電子蓄積部とを縦積構成にすることでAPD画素の小面積化をはかり,世界最高となる100万画素の集積化を実現した。
また,これまで同社が開発してきた三次元距離画像の長距離計測と高解像度化に加え,一般のTOFセンサーやLiDARでは困難であった高測距精度化との両立にも成功した。これにより遠方での人・モノの重なりを精度よく検出することが可能となった。
一般的なTOFセンサーは微弱な光信号が検知できないため,近距離のみの検知に限定される。一方LiDARは,遠方まで検知できる反面,解像度が低いため小物体の特定は困難となる。
また,2018年6月に同社が発表したAPD搭載のTOF方式長距離画像センサー(APD-TOFセンサー)は,近距離から遠方までの小物体を検知できたが,測距精度が最短でも1.5m間隔で,遠方での人・モノの重なりを検出するには課題があった。
そこで今回は,光電子を増幅する電子増倍部と電子を保持する電子蓄積部を縦積構成にすることで,増倍性能を維持しながらAPD画素面積を大幅に低減した。さらに,光子(フォトン)の到達回数を積算信号に変換し,近距離用に使われている間接TOF演算を適用することで,10mから100mの長距離において10cm間隔の距離精度を有する三次元距離画像化を実現した。
このセンサーは,車載用距離測定や広域の監視など,さまざまな分野への展開が可能だとしている。