世界最大級の光学関連展示会・国際会議であるPhotonics West 2020が2月5日~7日,アメリカ・サンフランシスコのThe Moscone Centerで開幕した。前回に続き,編集部では展示会を中心に取材を行なっており,その詳細は「Photonics West 2020 報告書」に纏める予定となっている。ここでは取材した出展社のいくつかについて,その展示内容を簡単にレポートする。
ON Semiconductor(アメリカ)
同社はイメージセンサーに加えてLiDAR向けにSiPM(Silicon photomultipliers)やSPAD(Single-photon avalanche diode)の販売に力を入れており,今回はこれらの受光素子をメインとした展示を行なっている。
実際に同社の素子を用いたソリッドステートLiDARとして,中国のRoboSense,アメリカのMicrovision,ドイツBlickfeldの製品を並べて,その性能と品質をアピールしている。同社はイメージセンサーとの組み合わせによる自動運転市場でのプレゼンスの向上を狙う。
Naonomotion(アメリカ)
同社の新製品であるステージは,新たに開発したSEピエゾモーターを搭載しており,大幅性能向上に成功した。具体的には動作速度が250mm/sから500mm/sと二倍にアップしながら,消費電力は5Wから<2.5Wと半減している。
京セラ(日本)
幅広い製品ポートフォリオを持つ同社だが,ここではレンズ関連製品を中心に,放熱用基板などのセラミック製品を展示している。レンズ関連では大型の製品を持ち込んでおり,16枚のレンズを用いたステッパ用のプロジェクター光学系や,レーザー加工用のFθレンズなどを並べている。
MKS(アメリカ)
“Surround the Workpiece”をキャッチフレーズとして,統一感の取れた展示内容であった。 Spectra-Physicsの製品ラインアップに、Ophir OptronicsとNewportとの統合で得られたラインアップにより,総合的なサポートを行なう事をこのキャッチフレーズで表明している。
ちなみに,このキャッチフレーズは商標登録を済ませており,周辺部品も含めて顧客のアプリケーションを囲い込むという会社方針を徹底させる意欲を感じた。
今回の展示会で力を入れているのは,①マイクロマシンニング,②量子アプリケーション,③メディカルや理化学用途で,①に対しては140W,600μJ,400fsecのレーザー,②に対しては,7.2Wで300nmの波長可変領域を保ちながら,スペクトル線幅を20kHz以下に抑えたチューナブルレーザー,③に対しては900nm帯で3Wの光出力の広帯域チューナブルレーザーを投入してきている。
また上記とは別に,25km先までのイメージを捕捉できる赤外線レンズ系モジュールとそのシステムのデモを行なっていた。この製品は,今年のプリズムアワードのファイナリストになっており,今夜のアワードセレモニーで同賞を獲得した場合には,その様子を別途レポートする。
オプトロニクス社編集部では,同社のシニアバイスプレジデントのMark Gitin氏にインタビューを行ない,今年のマーケット動向やそれに対する同社の方向性をヒアリングした。詳細はPhotonics West2020報告書に掲載するので,同書を参考とされたい。
Conferenceの様子
LASE,OPTO,BiOSのそれぞれの会議の主要なテーマに対して,実際に出席をした第一人者の方々に概要報告の執筆を依頼している。会議の詳細は100ページ余り(予定)に渡る詳細レポートをPhotonics West2020報告書に掲載予定である。
なお,編集部でも一部の会議に出席し,その雰囲気を体感した。筆者が見た範囲においては,レーザー加工とバイオイメージングの会議の出席者が多く,かつ,質問なども多く活発と感じた。Laser加工では,“Laser in Manufacturing”という題目でショートセッションが展示会会場内で開催されていた。