amsジャパンは,より詳細な画像を可能にするX線検出向け統合センサーチップ「AS5950」を発表した(ニュースリリースのDL)。
この製品は,高感度のフォトダイオードアレーと64チャンネルのアナログ―デジタル変換器を同一のダイへ統合したCMOSデバイス。単一のチップ構成のため,CT検出器モジュールへの実装が容易となる。
現行のCTスキャナーメーカーは,長い配線を介して単機能の読み出しチップへ接続される複雑なPCB基板上に単機能フォトダイオードアレーを組付けなければならない。8スライスおよび16スライスCTスキャナーにおいて,この複雑なPCB構成を1個のチップで置き換えることは,画像対ノイズ比の性能の劇的な向上を意味する。加えて,メーカーの材料コストおよび製造コストの大幅な削減が可能になるという。
また,0.98×0.98 mm2という最適化されたピクセルサイズを備えているが,OEMの要件に合わせて比較的短いリードタイムでカスタマイズすることも可能となる。
CTモジュールの製造においては,センサーをワイヤーボンディング処理によって基板へ直接組付けることができる。同社はパートナー企業と協力し,完成したCT検出器への統合を簡素化するCTモジュールのレファレンスデザインであるこの製品を開発した。
この2面バタブル配置モジュールは,2個のこの製品を2組使用して1個の基板へ組付けることで32×16mm2のセンサー領域を確保するか,4個の製品を2組使用して32×32mm2のセンサー領域を確保できる。
より鮮明な医療画像処理の統合アーキテクチャでは,フォトダイオードアレーと読み出し回路間の最適化されたウエハーレベルの相互接続により,単機能フォトダイオード/ADCアセンブリでの基板レベル配線よりも格段に低いノイズレベルを実現しているため,画像処理能力が強化されている。
また高解像度モードでのノイズは,455pCのフルスケール範囲の電荷で平均わずか0.20fC。ADCの直線性は±300ppmであり,複合直線性は±600ppm(フォトダイオードを含む)と,画像の高忠実度に寄与するという。
さらにチャンネルごとの放熱は平均0.65mWと非常に低く抑えられており,メーカーはCTスキャナーの冷却機能のコストを抑えられる。また,内蔵の温度センサーにより,ジャンクション温度の監視が可能となる。加えて統合時間が最低200μsと短く設定されており,スキャナーの高速回転に対応できるとしている。