オリンパス,内視鏡医の暗黙知をデータ化

オリンパスは,内視鏡外科手術に関する熟練医師の暗黙知をAI解析によりデータ化し,安全で均質な手術に必要な情報を適切に提供する「外科手術のデジタルトランスフォーメーション:情報支援内視鏡外科手術システム」を開発する(ニュースリリース)。

内視鏡外科手術は,術後の早期回復など患者のQOLの観点から症例数が伸びている。一方で,国内の外科医不足に加え,手術において高度な設備だけでなく医師や医療スタッフの高い技能が必要なことから,術者間や施設間の治療成績格差の解消が課題になっている。

これらの課題を解決するため,同社は外科手術の均質化に加えて,安全性の担保,手術室運営の効率化を実現するシステムの開発を行なう。

システムの概要は以下の通り。
1.情報支援内視鏡外科手術プラットフォーム(Information Rich Platform):判断支援
・様々な種類の手術や医療チームのために作られた情報支援ソフトウエアライブラリ(Information Rich Real Time Library)を追加することにより,それぞれの手術における術者への情報提示や医療チームの支援を実現。
・各手術の進行状況に応じて,AI等により最適化された解剖・脈管・腫瘍位置・ランドマーク・出血などのリスク要因を表示。手術中の重要な情報を医療チームで共有。

2.自律制御内視鏡システム(Autonomous View Control):視野操作支援
・情報支援内視鏡外科手術プラットフォームで推定した各手術の進行状況や術野画像の状況に合わせて,AI等を活用して内視鏡を自律的に制御し,外科医が手術を進めやすい視野を確保。

3.自動制御処置具システム(Active Device Control):処置具操作支援
・情報支援内視鏡外科手術プラットフォームで推定した各手術の進行状況や生体組織の種類,状態などの情報とともに,手術における処置の手段やアクセス方法に関する情報を収集・蓄積することで,処置具が対象の組織に与える力加減やエネルギーの出力などをAI等により最適化。これにより,安全・スムーズな治療操作を支援。

この開発テーマは,日本医療研究開発機構(AMED)の最長2023年度までの補助事業に採択されており,同社は今後,研究開発分担者である国立がん研究センター,大分大学,福岡工業大学,東京大学との協業による開発を進め,2024年度以降の実用化を目指すとしている。

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