浜松医科大学は千葉大学,横浜市立大学,岡山大学と共同で,赤外線カメラで蛍光イメージとしてリンパの流れをリアルタイムで観察する,医師主導治験「HAMAMATSU-ICG study」を開始した(ニュースリリース)。
リンパ浮腫は診断が難しい四肢のむくみの病気。乳がんや,子宮癌などの手術治療後数年経過してから手や足がむくんでくる病気で,CTやエコーなどの一般的な検査では診断が困難。また専門としている医師も少ない。
今回の治験はインドシアニングリーン(Indocyanine green)という色素を足や手の皮膚に注射し,この色素が蛍光を発してリンパ管内を流れる性質を利用し,浜松ホトニクス製の「pde-neo®」(赤外観察カメラ)で蛍光イメージとしてリンパの流れをリアルタイムで観察する。
この方法を用いてリンパ浮腫という四肢がむくむ病気の診断と,その治療手術であるリンパ管と近傍の静脈とを顕微鏡下でつなぐリンパ管―静脈吻合手術におけるリンパ管蛍光撮影の有用性を調べる。
今回の治験の内容は,すでにリンパ浮腫診療を行なう大学病院などの専門機関では日常診療として行なわれているものだが,これまで個々の医療機関で別々に行なわれ,その有用性を統一したフォーマットで集計,報告したものはなかった。
研究グループは今回の研究から,インドシアニングリーン蛍光リンパ管撮影法がリンパ浮腫診断に確かに有用であること,リンパ管―静脈吻合手術を施行するために必要であることが検証されれば,厚労省による保険適応の道も開かれ,多くの医療機関で実施可能となるとしている。