京都大学と英オックスフォード大学の研究グループは,AIの深層学習モデルを使って,野生のビデオ映像から個々のチンパンジーの顔を自動的に識別することに成功した(ニュースリリース)。
今回の研究は,西アフリカのギニアの野生チンパンジーのビデオ映像記録を研究対象とした。1999年末から2012年まで14年にわたる森の定点で撮影したビデオ映像記録のうち,23個体の50時間の記録から得られた約1000万枚の顔画像を,顔認識の「深い畳み込みネットワーク(CNN)」と呼ばれる深層学習モデルを用いて解析した。
その結果,画像の92.5%で個体識別し,96.2%で男女の性別を認識することができた。さらにその大量データをもとに,14年にわたる社会変容を解析することにも成功したという。また,個体識別した資料に基づいて,だれとだれが近くにいるかに着目することで,社会的なネットワークの解析を行なった。
研究グループは,今回の研究は新たな野外研究の解析手法を明示するとともに,野生チンパンジーの社会変容について,特にチンパンジーが年をとるとどうなるかについて明確な理解が得られたとしている。