ニコンは,再生医薬品開発企業のヘリオスと2017年に締結した業務・資本提携契約に基づく提携関係の拡大について,2019年7月10日付けで合意した(ニュースリリース)。
同社は2013年8月にヘリオス(当時:日本網膜研究所)による5億円の第三者割当増資を引き受け,ヘリオスが取り組むiPS細胞技術を利用した加齢黄斑変性の再生医療実現などを支援している。
さらに,2017年2月に締結した業務・資本提携契約に基づき,同社はヘリオスによる20億円の第三者割当増資を引き受けるとともに,両社が有する強みを活かし,再生医療の実用化を推進してきた。
ニコンは光学技術および画像解析技術を活用し,細胞の製造プロセス全体を統合的に管理する「細胞品質・培養プロセス評価システム」や「創薬支援サービス」などのソリューションを提供している。,また,同社100%子会社のニコン・セル・イノベーションは,再生医療用および遺伝子治療用細胞における前臨床試験から上市まで,受託開発・生産のサービスを提供している。
ニコン・セル・イノベーションは,2017年よりヘリオスおよび米バイオテクノロジー企業Athersys, Inc.(アサシス)と共同で,日本における脳梗塞急性期の体性幹細胞再生医薬品の商用化を目指している。
この薬品は,アサシスが開発した成人由来の量産可能な体性幹細胞再生医薬品であり,臨床段階の複数プログラムが進行している。アサシスが特許権・特許実施許諾権を保有し,既に一定の安全性が認められている。
ヘリオスは,この薬品を用いて日本国内にて2つの治験を実施している。ニコン・セル・イノベーションは,2017年より進めるこの薬品の受託生産契約に加え,今回の合意により,日本における商用化生産の拡大需要に備え,準備を開始する。
また,ヘリオスが自社開発を進めている複数のパイプラインについても,ニコン・セル・イノベーションが受託生産体制の構築を目指し,幅広く協議を開始するとしている。
今回の業務・資本提携契約に基づく提携関係を拡大させることにより,ニコングループは再生医療用細胞等の受託生産において,幅広い事業機会を得ることとなる。