精工技研ら,5G向け光電界センサーを開発

精工技研は三重大学と産業技術総合研究所と共同で,5Gの基地局アンテナが発信する電波の強度と位相を高精度で計測する,光電界センサーの開発に成功した(ニュースリリース)。5Gの周波数帯において,28GHz帯を測定することができる光電界センサーは世界初。

28GHz帯は,5Gの開始に伴って新たに商用化された電波の周波数帯域。4Gで利用されている3.6GHz以下の周波数帯に比べて直進性が高く,長距離を飛びづらいため,この帯域を利用する5Gの基地局を効率的に設置するためには,基地局のアンテナが発信する電波の方向や強さ等の放射パターンを正確に測定し,アンテナの位置や角度を調整する必要がある。

同社では,2017年後半から28GHz帯等の高周波の電波を正確に測定することができる光電界センサーの開発に着手しており,2018年6月からは三重大学,産業技術総合研究所との共同研究を開始した。

今回開発した光電界センサーは,電波を受信するアンテナと,受信した電波を光信号に変調する電極を一体化させたアンテナ電極構造を採用。複数のアンテナ電極を光導波路に直列配置することで高感度化を実現した。

複数のアンテナ電極を対称に配置することで,直交する2つの偏波成分を同時に測定できることも確認されており,測定の手間を大幅に削減することが期待されるとする。センサーヘッドにはアンテナ電極以外金属部が無く,周囲金属との干渉の影響が小さく,極めて精度の高い測定が可能だという。

同社は,2019年度下期からエンジニアリングサンプルの販売を開始する予定。今後,世界各国で5G用の基地局が急増することが確実視される中,世界の通信キャリアやアンテナメーカー,研究機関や大学等に向けて広く販売していくとしている。

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