富士キメラ総研は,「CASE」をキーワードに搭載が増加する車載電装システムの制御を司るECU(Electronic Control Unit)の市場を調査し,その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2019《下巻:ECU関連デバイス編》」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,ECUの世界市場は堅調に拡大しており,2018年は前年比4.1%増の8兆4,160億円を見込む。自動車1台当たりのECU搭載数の増加や高処理能力が必要なECUの需要が増えるため,今後も市場は拡大を続け,2030年は2017年比79.0%増の14兆4,679億円を予測する。
2018年時点では,ボディ統合制御ECU,エアコンECU,照合ECU,ヘッドランプECU,パワーマネジメントECUなどボディ系の市場規模が大きいという。今後は,価格が比較的高く搭載数も増加する走行安全系や情報通信系の構成比が高まるとみる。特に走行安全系では,ADAS-ECUや自動運転システムECU,ドライバーモニタリングECUなどが大きく伸びるため,2024年にはボディ系の市場規模を上回ると予想する。
伸び率が最も大きいのは,HV/PHV/EV/FCV系だとする。中国やEUを中心に環境対応車の販売が拡大するため,2020年頃から関連するECUも大きく伸びるとみており,2030年の市場は2017年比10.9倍の1兆8,198億円を予測する。スマートセンサー/アクチュエーターは,ADASにおける車載カメラとレーダーセンサーの搭載が大幅に増加するため,伸びるとみる。
自動車1台当たりのECU平均搭載数は,ダッシュボードが熱の影響を受けにくく,ECUの搭載が比較的容易なことから,現状1台あたり7.0個の搭載がみられるという。しかし,ECUの搭載個数が増加しているなか,搭載場所の確保を目的として,エンジンルームなどに機電一体化して搭載する傾向にあるとする。そのため,今後はダッシュボードやインパネ/センタークラスターへの搭載は微増にとどまるが,エンジンルームやその他の場所への搭載個数が大幅に増加するとみる。
ECUを構成するセンサーの世界市場の中で,最も大きな伸びを予想するのはイメージセンサー。搭載されるカメラのタイプによって搭載数が異なるが,先進国を中心に衝突安全防止機能の搭載義務化が進むとして,2030年には2017年比4.1倍の2,513億円を予測する。