コニカミノルタ,胸部X線の病変検出AIを共同開発

コニカミノルタは,医用画像AI解析ベンチャーの米Enlitic,Inc.(Enlitic),丸紅とAIの共同開発契約を締結し,その第1弾として胸部単純X線AIの開発を進める(ニュースリリース)。

医療現場で一般的に利用され,かつ撮影数が多い胸部単純X線画像は,撮影が簡便であることに加え,同時に多くの種類の病変の検出を対象にできるという利点がある。一方で,複数の組織が重なって表現される中から病変を識別しなければならず,さらに撮影枚数も多いことから,医師への負担も大きくなっている。

そこでコニカミノルタは,共同開発の第1弾として,病変を早期に見つけることに重点をおいた,プライマリケアや検診をサポートする胸部単純X線AIの開発に取り組むことにした。同社は,近年,プライマリケア(身近にあって,何でも相談にのってくれる総合的な医療)の重要性に着目し,これを支援する製品やサービスにも注力している。

プライマリケアでは,さまざまな診療科が扱う多種多様な病気への対応が必要となる。同社は,専門医のスキルを学習したAIをプライマリケアに活用することで,患者,医師,診療放射線技師の負担を減らすことが可能であると考え,「プライマリケアAI」製品によって,プライマリケアに求められるゲートキーパーとしての役割を支援している。また,このようなAIは,限られた時間の中で大量の診断を要求される検診現場においても同様の負担低減が期待できるという。

Enliticは,2016年の「MITテクノロジーレビュー」で「50 Smartest Companies」にも選出された,ディープラーニングを活用した医用画像解析技術のトップランナーで,その技術力に加え,百万症例規模の大量データを保有,学習済みという。丸紅はEnliticの株主であり,そのグローバルなビジネス基盤から,迅速な販路の拡大を期待する。

コニカミノルタは,胸部画像を用いたBone Suppression(肋骨減弱)処理,Temporal Subtraction(経時差分)処理の開発など,臨床に即した開発,評価のノウハウを保有し,3社が連携することで,日本で市場展開可能なAIの開発が早く進むものと考えている。

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