島津製作所と大阪大学は,NEDOプロジェクトにおいて青色半導体レーザー装置の世界最高出力という1kWを実現した(ニュースリリース)。
青色半導体レーザーは金属に対する吸収効率が高く,赤外半導体レーザーでは困難とされる銅や金などの加工に適し,次世代レーザー加工機用の光源として応用が期待されるほか,熱伝導型溶接やレーザーマーキング用の光源として用途が広がりつつある。
一方で,数ミリメートル厚の金属の切断やレーザー焼き入れ,溶融・蒸散を伴うキーホール型溶接には,さらなる高出力化と高輝度化が必要とされている。
今回,両者は出力200W,輝度2.6×106W/cm2(直径100μm)の青色半導体レーザー光源を開発し,青色半導体レーザー装置の世界最高出力1kWを実現した。これは,同プロジェクトで開発した出力100Wの従来品の10倍の出力。この成果は,青色半導体レーザー光源単体の高出力化および高輝度化の実現と,5本のレーザーを集約して1つの光ファイバーに束ねるレーザービームコンバイニング技術の新開発によるものという。
島津製作所はこの高出力化によって,従来の青色半導体レーザー技術では難しいとされていた数ミリメートル厚の銅や金のレーザー切断加工,レーザー焼き入れ,キーホール型溶接などの実現に向けて前進したとし,高い精度が要求される航空・宇宙・電気自動車などの産業において,部品加工での利用が見込めるとしている。
島津製作所と大阪大学は今後,青色半導体レーザー光源のさらなる高出力化と高輝度化を目指すとともに,レーザービームコンバイニング技術をさらに改良し,レーザーを集約する光ファイバーのさらなる小径化を進める。
なお,島津製作所は,今回開発した単体のレーザー(出力200W,輝度2.6×106W/cm2,直径100μm)光源を,同社が展開する青色半導体レーザー光源「BLUE IMPACT」シリーズに加えることを予定しており,2020年度の製品化を計画している。