福岡工業大学は,大分大学,オリンパスと共同で人工知能を用いた内視鏡外科手術を補助するソフトウェアの開発し,平成30年12月大分大学病院での腹腔鏡下胆嚢摘出術において,開発ソフトを用いたランドマークの術中表示システムの検証実験に成功した(ニュースリリース)。
福岡工業大学は,この研究において人工知能ソフトウェアの開発を担当。内視鏡外科手術が最も普及している胆嚢摘出手術で開発を進めており,安全に手術を進めるためのいくつかの目印(ランドマーク)を手術映像上にリアルタイムで表示する技術の開発を行なっている。
内視鏡外科手術は,入院期間も短いため,患者にとっては社会復帰が早いなどの長所がある。術式の対象も手術機器の発展に伴って体の各部位に広がるなど,実施件数は年々増加している。一方で,体表を大きく切り開く一般的な手術に比べて技術的に難しく,間違って切除してしまうなどの執刀医の判断ミスに因んだ事例も起きている。
このシステムは,大分大や日本内視鏡外科学会が保有する約100症例の手術動画から生成した数万枚の手術画像をAIに学習させることで,熟練医が経験から覚えた「暗黙の知」をコンピュータが解析し,手術を安全に進めるためのランドマークを手術映像上に表示するもの。
研究グループは,このシステムが提示する情報を見ながら手術を行なうことで,手術の安全性を高めることが期待されるとしている。