矢野経済研究所は,国内外の協働ロボット市場を調査し,セグメント別の動向,参入企業動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。
協働ロボットは,国際規格ISO10218-1に適合した産業用ロボットで,規定された作業空間において人間と直接的に協働をするように設計されている。使用条件に基づき適切に使用することで安全柵などで囲うことなく,人のすぐそばで働くことができる。
この調査によると,協働ロボットの世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで,2015年の180億円から2016年の360億円,2017年には650億円とここ数年で急成長してきた。
この背景には,協働ロボットは省スペースでの導入が可能であることや,設定・制御の容易さなどにより頻繁な生産プロダクト(製品)の変更にも対応しやすくなったことで,従来の工業分野を中心にこれまでの産業用ロボットでは運用できなかった場所での利用や人材不足を補完する目的で導入が進んだことが大きいものとみる。
現在,外食産業ではテクノロジーを活用し,課題解決や新しいサービスの提供が進んでいる。ロボットを活用した調理サービスもその一つであり,国内では人手不足などを背景に,既に一部の飲食店では調理をおこなう協働ロボットを利用したシステムが運用され始めている。今後も人のすぐそばの作業空間で働くことのできる協働ロボットは,外食産業を中心に新領域における活用が期待されている。
協働ロボットの世界市場規模は,2020年までは自動車業界やエレクトロニクス業界など産業用ロボットが多用されてきた従来の工業分野を中心に前年比150%前後で成長していくと予測する。2021年~2022年にかけては,従来の工業分野での需要が一服することや廉価な製品による低価格化が想定されることから,成長率は鈍化するとみる。
その後,これまで産業用ロボットがあまり活用されてこなかった三品業界(食品・化粧品・医薬品)などの新工業分野や外食やホテルなどのサービス産業など,工業以外の新領域での利用拡大が期待されることから,2024年の協働ロボット世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで,8,500億円に達すると予測している。