昭和大学らが開発を進めてきた人工知能(AI)内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN®」が,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき,クラスⅢ・高度管理医療機器として12月6日に承認を取得した(ニュースリリース)。
大腸がんは日本人女性のがん死亡数の1位,男性でも3位と近年増加傾向であり,効果的な対策が求められている。その対策として,大腸内視鏡で早期がんや前がん病変である腫瘍性ポリープを切除することで,大腸がんによる死亡を大幅(53-68%)に減らせることが知られている。
一方でポリープの中には,切除する必要のある腫瘍性ポリープと切除する必要がない腫瘍ではないポリープ(非腫瘍性ポリープ)があり,医師は検査中に両者を的確に判別する必要がある。このような内視鏡診療を支援する目的で,研究グループは名古屋大学及びサイバネットシステムと連携して内視鏡画像を解析し,医師による診断を補助するAIを2013年より研究・開発してきた。
今回開発を進めてきた同製品は,具体的には国内5施設(昭和大学横浜市北部病院,国立がん研究センター中央病院,国立がん研究センター東病院,静岡県立静岡がんセンター,東京医科歯科大学附属病院)による臨床性能試験を経て,医薬品医療機器等法に基づき,クラスⅢ・高度管理医療機器として承認を取得した。
同製品は,オリンパス製の超拡大内視鏡「Endocyto」で撮影された大腸の内視鏡画像情報をコンピュータ処理し,画像から腫瘍および非腫瘍の可能性を数値として出力する機能を有する,医師による病変の診断予測を補助するソフトウェア。
同製品は,AIの一種である機械学習手法(サポートベクターマシン)に基づき,約6万枚の内視鏡画像を学習した。臨床性能試験では専門医に匹敵する正診率98%,感度97%の精度で腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープを識別し,非専門医の正診率を上回っていた。なお,同製品は市販後に自ら学習を繰り返し,性能が変化するタイプのAIではないという。
研究グループは,同製品を使用することで,医師の内視鏡診断を支援し,医師の診断精度が向上することが期待されるとしている。