矢野経済研究所は,車載用ディスプレー市場を調査し,純正品・市販品別出荷数量,部位別やインチ別の市場動向,価格動向などを明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,純正品に市販品を加えた,2017年の車載用ディスプレー世界市場(メーカー出荷数量ベース)は前年比106.8%の1億4,868万枚であった。
パネル種類では,長年の実績を持ち信頼性の高いTFT-LCDが圧倒的な強みをみせている。TFT-LCDは、CID(Center Information Display)向けへの標準搭載やTN/STNからTFTへ切り替えが進むCluster(Instrument Cluster)向けで需要が拡大しているという。
さらに、HUD(Head-up Display)やRearview Mirror、Side Mirrorなどの新規用途向けの主力ディスプレーとしても採用されているため,車載用ディスプレー市場の拡大と共にTFT-LCD市場の成長が続く見通しだという。
次世代ディスプレーとして期待される車載用AM-OLEDは,2018年以降AudiがCID向け,Side Mirror向けなどでAM-OLEDパネルの搭載を予定している。その他,Mercedes-Benzも採用を予定している。
車載用AM-OLEDは高コントラスト性が評価されるも,現時点においても「輝度」,「残像」,「寿命」などの車載用スペックを完全にはクリアできていない。そのため,最初の採用はRSE(Rear Seat Entertainment)のコントロール画面(Remote)に留まったが,Audiの新型車種向けでCIDやSide Mirror向けのサンプル出荷が行なわれているとみる。
車載用ディスプレーとしての課題は残されているものの,本格採用に向けた改善とAM-OLEDの良さである「高コントラスト」,「フレキシブル」などの特徴がいかに評価されるかが,今後の採用拡大のキーとなるとしている。
今後,2021年の車載用ディスプレー世界市場(メーカー出荷数量ベース)は1億9,199万枚に成長と予測する。TN/STNからのTFT-LCDへの置き換え需要で高成長を遂げたCluster向けの車載ディスプレーは,置き換え需要が一段落するとみる2023年が近づくにつれ成長率は緩やかになっていく見込みだとする。
新規マーケットとして期待されるHUD,Rearview Mirror,Side Mirror向けディスプレーは急成長を遂げているものの,高級車種を中心としたオプションでの搭載が主力であるため,車載用ディスプレー市場を牽引する規模にまで拡大するには時間を要するとしている。