NTTら,レーザーでカシミヤ産地を推定

著者: sugi


日本電信電話(NTT)と繊維製品などの品質試験を行なうケケン試験認証センターは,科学的に産地を推定する工程を取り入れたカシミヤの品質検査システムに関する実証実験を12月より開始する(ニュースリリース)。

グローバル化が進む中,高級獣毛であるカシミヤ製品を手ごろな値段で手に入れられるようになった。反面,品質低下の懸念から,多くのアパレル企業や販売店では,厳しい品質検査がされている。また,カシミヤ原産国では,トレーサビリティが確保された管理体制作りが始まっている。

しかし,文書情報による管理と科学的な品質検査が実施される中で,従来の光学顕微鏡検査による外見の特徴からでは,産地を推定することは不可能だった。

実験ではカシミヤを燃焼し,カシミヤに含まれる元素を,水蒸気(H2O)や二酸化炭素(CO2)等のガス(気体)にする。これに半導体レーザー光を照射し,同位体の違いによる僅かな吸収波長の差やその吸収量をモニタリングすることで,ガスに含まれる元素を同位体レベルで分析する。

このNTTのレーザーガスセンシング技術により,カシミヤに含まれる元素の安定同位体比とカシミヤ山羊の生育地や飼育環境に相関関係があることを明らかにしている。産地情報と関連付けた科学的なデータベースを構築し、従来の光学顕微鏡検査と併せた産地推定アルゴリズムを用いて産地を推定する。

産地推定精度を定量的に評価することで,必要な蓄積データ数や産地推定アルゴリズムの有効性を明らかにし,品質検査過程に科学的な産地推定工程を取り入れたシステムの実用性の評価を行なう。

今後は,引き続き,産地の確実なカシミヤ原毛の採集を行ない,蓄積データの拡充を図り,データ処理による産地推定の精度を向上し,海外の牧場(原産地)から消費者までの流通過程において,商品に対する信頼性向上につながる検査システムの構築を目指す。

両社は,IoT技術を利用した,産地や品質等,商品の履歴が保証されたトレーサビリティが確保された高度な品質管理体制を通して,海外のブランド地区の生産者を保護すると共に,アパレル企業や販売店が,品質が保証されたカシミヤ製品を消費者に提供できるよう積極的に取り組んでいくとしている。

キーワード:

関連記事

  • 科学大,自動・適応型のOWPTシステムを開発

    東京科学大学の研究グループは,室内などで照明のある明所と,照明のない暗所の両方に対応し,自動的に複数のIoT端末に電力を供給可能な光無線給電(OWPT)システムを開発した(ニュースリリース)。 近年,IoT(Intern…

    2025.11.04
  • 京大,同位体を量子ビットとして用いる手法を開発

    京都大学の研究グループは,量子ビットとして優れた性質を持つイッテルビウム原子の2種類の同位体をそれぞれ補助量子ビットおよびデータ量子ビットとして用いる手法を開発した(ニュースリリース)。 中性冷却原子を用いた量子コンピュ…

    2024.12.12
  • 阪大,土に還るサーマル土壌含水率センサを開発

    大阪大学の研究グループは,紙,天然ワックス,錫など環境に配慮した材料のみで構成された土壌含水率センサの開発に成功した(ニュースリリース)。 これまで生分解性プラスチックなどを用いた環境に優しい電子材料に関する研究は数多く…

    2023.10.18
  • 理研ら,アイスコアの微細試料採取装置を開発

    理化学研究所(理研)と国立極地研究所は,レーザー融解によってアイスコアから水試料の採取を行なう「アイスコアレーザー融解サンプラー(Laser Melting Sampler:RIKEN-LMS)」と名付けた装置を開発した…

    2023.09.20
  • KEKら,中性子過剰なウラン同位体を40年ぶり発見

    高エネルギー加速器研究機構(KEK)と理化学研究所らは,ウランの中性子過剰な同位体241U(ウラン)の合成と同定に初めて成功した(ニュースリリース)。 中性子過剰なアクチノイドは天然に存在するウランやトリウムを合成した星…

    2023.04.03
  • NTTら,貴金属・有害物質のない回路で信号を生成

    日本電信電話(NTT)と東京大学は,低環境負荷な材料のみで構成した電池(低環境負荷電池)と回路(低環境負荷回路)を用いてPoC(Proof of Concept)のためのセンサ・デバイスを作製し,世界で初めて通信信号を生…

    2022.10.12
  • 京大ら,レーザーで木の幹からのメタン放出を発見

    京都大学,神戸大学,兵庫県立大学らは,先進的な大気環境の分析技術を樹木の計測へと応用することにより,湿地性樹木の一つであるハンノキの幹から大量のメタンが放出されていることを突き止めた(ニュースリリース)。 地球温暖化にも…

    2022.07.15
  • NIMSら,IoT機器向け微細化熱電素子を開発

    物質・材料研究機構(NIMS),産業技術総合研究所(産総研),筑波大学は,熱電変換物質の薄膜試料に半導体微細加工を施すことにより,多数のπ接合からなる熱電素子の作製に成功し,IoT機器の駆動に必要な目安となる0.5V以上…

    2022.06.23

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア