OIST,フォトルミネッセンスを示す新たな金属錯体を発見

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は,銅を有機分子と組み合わせることによって,フォトルミネッセンスを示す新しい金属錯体を発見した(ニュースリリース)。さらに,有機分子のサイズを変えることによって,放出される光の明るさを制御することもできた。

従来,発光性金属錯体は,高価な貴金属を用いているうえ,合成した化合物は有毒物質でもある。一方,銅錯体は安価な代替物で,操作も容易な構造を持っている。

研究グループは,有機分子すなわちリガンド分子が,分子形状および動きにおいて多くのバリエーションがあり,金属原子と柔軟に結合を形成することを発見しており,今回これに着目。リガンドを持つ銅原子に,異なるアミン基を組み合わせることによって,発光性銅錯体を合成した。

具体的にはN-メチル,N-イソブチル,N-イソプロピルおよびN-tert-ブチルの4つの類似したリガンド分子を合成した。サイズはそれぞれ異なり,N-メチル分子が最も小さく,N-tert-ブチル分子が最も大きくなっている。

次に,4つのリガンド分子を銅と結合させて金属錯体を作製し,X線回折およびNMR分光法などを用いて分子構造を調べ,分子サイズを同定した。N-メチルを含む最小の銅錯体は,他の3つに比べてより柔軟で,かつ迅速に動いたが,N-tert-ブチルとの銅錯体は,より大きい分子構造のため,動きも最も遅かった。そしてこの時,分子の動きが遅いほど,放出される光がより強くなることを発見した。

この発見を踏まえ,さらに,銅錯体と類似の構造を有する分子をポリマーに組込み,より広範な用途に使用できるようにした。これにより,材料が機械的な応力や歪みに晒された際,より明るく輝く分子プローブを作製することができた。

研究グループは,材料が実際に破損する前に,磨耗および裂傷を検出するのに役立つので,建築材料の不具合を防ぐ新しい方法を編み出す可能性を秘めるなど,応力検出について利用が期待できるとしている。

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