凸版印刷は,印刷をする用紙の種類,印刷方式,インキの色を指定するだけで,最終印刷物の仕上がりの色調をディスプレー上で確認することができるカラーマネジメント(CMS)クラウドサービス(CMSクラウド)を開発。2018年11月より運用を開始する(ニュースリリース)。
CMSとは,ディスプレーやプリンタ,印刷物など異なるデバイス間で色の調整を行ない,表示色の統一を図るための技術。色校正に活用してきた。CMSクラウドは,プロセスカラーだけでなく,特色にも使用できる高精度なカラーマネジメントエンジンを,クラウドサービスとして提供するもの。
近年,生活者のニーズが複雑化するにつれ,求められる商品も多様化している。これにより,企業や製品のブランディングが重要となり,企業ロゴ色や製品のイメージ色を印刷物で正確に再現することが重視されるようになっている。
ディスプレーやプリンター,印刷機では使われる基本色や色域(使われるインキや紙,印刷機により表現可能な色の範囲)が異なるため,CMSを用いて表示色を統一する必要がある。
今回,同社は色彩工学に基づき,使用する特色の色見本と印刷条件を指定するだけで印刷再現されるすべての組み合わせ色を予測できる高精度なカラーマネジメント技術を確立。これにより,実際に印刷することなく,ディスプレーやプリンタで最終印刷物の色確認を可能にした。
具体的には,印刷方式や使用する用紙などの条件を入力することで,システム内部でカラーマネジメントエンジンがプロファイルを作成。レイアウト済の紙面PDFデータをアップロードすることで,ディスプレー上で実際の最終印刷物と同じ色調が表現されるという。
これまで同社の生産現場で培ったカラーマネジメントエンジンをクラウド対応に開発。専用ソフトウェアの導入が不要で,簡単・手軽に遠隔地・複数人で最終印刷物の色確認が可能。用紙やインキの特性だけでなく,印刷機やデジタル出力機の種類毎の特性情報を用いることによって,色味や発色など精度の高い色予測が可能になる。
用紙では主な素材全てに対応,印刷方式ではオフセット印刷,UVオフセット印刷,グラビア印刷に対応し,出版印刷,商業印刷,パッケージ印刷など異なる分野でも使用できる。
また,印刷物を観察する照明の色合い(色温度)に合わせた表示も可能。条件を入力するだけで色再現が可能なため,設計時のシミュレーターとしても活用できる。
同社は,さらにこの技術をオンライン上で利用できるクラウドシステムとして開発し,同社内だけなく,ブランドカラーの印刷色管理などを社外でも利用できる形で提供するとしている。