リコーは,開発した路面性状モニタリングシステムを搭載した車両が,土木研究センターが実施した「路面性状自動測定装置の性能確認試験(性能確認試験)」に合格したと発表した(ニュースリリース)。ステレオカメラで構成されるシステム搭載車が性能確認試験に合格したのは初めてだという。
同社は,2016年7月から2017年8月まで,国土交通省,秋田県,仙北市と共に「路面性状モニタリング実証実験コンソーシアム」に参画し,実証実験に取り組んできた。コンソーシアムでは,「一般車両へ搭載可能な路面性状計測システムの実現」と,「撮影から計測結果作成までの業務プロセスの自動化・高度化」を技術開発指針とし,道路舗装の状態計測の頻度・範囲を従来に比べて,より拡げていくことを目指した。
同社の路面性状モニタリングシステムは,これらの方針を受けて開発されたもの。道路管理では,維持管理の総合的な指標として「ひび割れ率」,「わだち掘れ量」,「平たん性」のデータから算出される「MCI(Maintenance Control Index)値」が利用されている。
このシステムではステレオカメラで路面の3次元画像と輝度画像を同時に撮影し,「ひび割れ率」を輝度画像のAI(機械学習)による機械判読から,「わだち掘れ量」と「平たん性」を3次元画像から算出することで,撮影から測定結果作成までの自動化・高度化を行なう。これによって,効率的かつ網羅的に路面舗装状態を把握することができるという。
これにより,性能確認試験に合格している車両での測定が求められる公共事業の路面性状調査業務の実施が可能となる。同社は今後,受託業務として自治体の管理する市道の測定を開始する。また,引き続き,路面性状モニタリングシステムの開発にも取り組むとしている。